創業100年、リンナイの「運」そして「EC」

2020年3月20日 07:14

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リンナイのガステーブルコンロ「RT64MH7R2-CL/R」(画像: リンナイの発表資料より)

リンナイのガステーブルコンロ「RT64MH7R2-CL/R」(画像: リンナイの発表資料より)[写真拡大]

 ガス器具トップのリンナイの前身:林内(りんない)商会は1920年(大正9年)、故内藤秀次郎(初代社長)と故林兼吉(2代目社長)の手で、産声を上げている(現社名への変更は1971年)。当初からガステーブルコンロ・ガスレンジ・ガス湯沸かし器・ガスオーブンを手掛けていた。

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 戦時下、軍の監督工場として航空機部品を製造していた時期もある。だが戦後は日本初の「外焚式ガス風呂釜」の開発など、世に送り出した新たな商品は数知れない。5代目の現社長:内藤弘康氏の言葉を借りれば、「一貫して無借金企業。あらゆる機会を求め新商品開発に努めてきた100周年」。

 創業100年を超える企業は少なくない。が、そうした企業を振り返る時、いくつかの共通点が存在する。例えば一つは「運」であり、例えば一つは「ビジネスモデルの妙」である。

 リンナイで言えば前者は大ヒット商品となった、国内初のガス赤外線ストーブ。現社長の義父:故内藤明人氏が1958年に(当時の)西ドイツを視察で訪れた際、シュバンク社と技術提携。赤外線ガスバーナーの製販を始めたのが契機。リンナイの年商は10億円に満たない時代だった。特許料だけで2億円という大枚をはたき手にした技術を活かした商品だった。

 オリックスのシニア・チェアマン:宮内義彦氏がよく言う「誰にでもチャンスというのは向かって歩いてくる。要は失敗か成功の岐路は、それを見逃すか掴むかの違い」をまさに、地でいった話と言える。

 後者は、「真っ白なコンロ/つまみ部分は7色を用意」や「ステンレスコンロ」の発売。正確には2006年10月に立ち上げた「ECサイト:リンナイスタイルサイト」の取扱商品である。電話によるコールセンターも併設し始まった。取扱商品の9割方は「ガス機器の部品」。

 「何故、サイトを」という問いに担当者だった小杉將夫取締役はこう語ってくれた。「直接ユーザーとの接点がなかった。商品開発の上でも、顧客とのつながりを密にするBtoCチャネルが必要だろうと考えたのがベースだった。

 ネットを介して購入した部品を交換すると言っても、必ずしも容易ではない。そんな顧客からの問い合わせに取り換え法を説明しながら、会話の中から“こんな色のコンロがあったら、料理がもっと楽しくなるのではないだろうかしら”とか“、こんなこともできちゃう商品があったらいいわね”といった声を拾い、商品開発のネタを仕込んでいく」。

 ちなみにリンナイは、前期まで19期連続の増配を続けている。リンナイの足跡は「優良100年企業の何故」を物語っているとも言える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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