手塚治虫が蘇った? AIが描いた新作漫画「ぱいどん」講談社「モーニング」から

2020年3月5日 07:25

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(c)「TEZUKA 2020」プロジェクト

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 昨年のNHK紅白歌合戦では「美空ひばり」をAI(人工知能)で再現し、新曲も披露されて話題となった。故人をAIで蘇らせる試みは倫理の問題があるとされてきたが、今度は「手塚治虫」の漫画がAIで描かれた。

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 手塚治虫は「漫画の神様」であるが、彼の新作は現代にも通用するのであろうか?素朴な疑問がわく。彼の作品には「未来を予測する力」があり、60年も前の作品なのに現代社会の風刺が描かれていたのを思い出す。

 AIが描いた手塚治虫の新作漫画「ぱいどん」は2月27日に発売され、漫画雑誌「モーニング」(講談社)に掲載された。人間とAIの競作となっているようで、物語はAIがあらすじを考えたようだ。主人公のキャラクターもAIが描き出しているようだが、手塚作品をしばらく読んでいないので評価はできない。

 舞台は2030年の東京で、主人公「ぱいどん」は、『管理社会に背を向けるホームレスの哲学者』となっているようだ。かなり現代的設定で、むしろ手塚治虫作品としては「現代的」すぎて「未来」を感じさせない。人間が仕上げをしているようで、AIが「手塚治虫の未来を予測する才能」をどこまで再現できているのか興味が持てる。

 「鉄腕アトム」は、何しろ未来のロボットであった。今現在見れば、アトムは「実現可能なロボット」になっているが、60年ほど前に大量生産時代と原子力の利用を予言したことは、当時とても新鮮に感じたものだ。今回、「ぱいどん」の「ホームレスの哲学者」の設定は、逆に「学生運動」盛んな1970年ごろの左翼的思想に感じる。

 当時の手塚作品の印象で今でも覚えているのは、「マンション」を予言した場面だった。同じような建物が大量に生産され、そこに住まう人間たちはまさに現在の私たちだ。大量生産を批判した左翼的思想だが、今ではそぐわないものだ。

 原子力については、手塚は「希望」的に考えていたのは明らかだ。何しろ「鉄腕アトム」つまり「アトム(原子力)」で飛ぶこともできるロボットだったからだ。予測が外れているところもあったが、あの時代に「未来を見せてくれたことに感動した」のは、私も成人してからのことだった。

 今回の試みのように、手塚治虫の優れた才能を再び感じさせてくれる楽しみは、大いに歓迎したい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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