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岩谷産業、針葉樹苗木の生育促進に新技術開発 少花粉スギ普及に応用
左がファインバブル水で育てた苗木(岩谷産業発表資料より)[写真拡大]
岩谷産業は19日、微細な泡を多く含んだファインバブル水による針葉樹苗木の生育促進技術を開発したと、発表した。世界で初めてといい、特許を出願中。林野庁ではスギ花粉対策としてスギの人工林の少花粉スギなどへの植え替えを進めており、同社では少花粉スギの普及促進への応用が期待できるとして、2020年中の実用化を目指している。
ファインバブル水は、0.1ミリ以下の微細な泡を多く含んだ水のことで、同社ではナノサイズ(1ミリの1万分の1以下)を対象に用途開発を行っている。ファインバブル水には酸素濃度を上昇させ、発芽などを促す活性酸素を発生させる働きがあるという。
スギ苗木の栽培に利用すると、苗木の育ちが早く枝や根の張りがよくなり、歩留まりが向上。種まきから植林できる大きさまで育つのに、従来なら2~3年かかったのに対し、1年半~2年に短縮できるとしている。
同社では、今年中に実用化のメドをつけ、ファインバブル水で育てた苗木を植林し、枯れずに根づく割合を高めることができるか、検証する。将来はファインバブル水による栽培装置の販売を行い、畑栽培より効率が高くコストの安いコンテナ栽培を普及させる計画。
林野庁は1990年代から少花粉スギや無花粉スギの開発支援や、国有林の植え替えを進めている。2007年には「花粉発生源対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、スギ花粉対策を推進しているが、一説にはスギの人工林を全て少花粉スギなどに植え替えるには700年かかるともいわれている。一方で苗木生産者の高齢化と減少が進んでおり、苗づくりの生産性向上が課題となっている。
日本人の2人に1人が花粉症か花粉症の可能性があるといわれている。スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネなど花粉の種類は多く、1年中何らかの花粉が飛んでいるが、なかでもスギ花粉は最も多い。飛散する距離も長く、地域も全国に広がっており、対策の加速化を望む声が強い。
岩谷産業はLPガスの分野でトップシェアを持つ総合エネルギー企業。自然産業事業の割合は4%にすぎないが、近年その拡充に注力している。農業関連では土壌改良、育苗、栽培、植物工場などを手がけており、今回の開発もこの一環。(記事:澄・記事一覧を見る)
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