交感神経とがん細胞が相互作用する仕組み解明 新治療法に期待 横浜市立大など

2020年2月18日 08:21

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研究の概要(写真:横浜市立大学の発表資料より)

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 横浜市立大学、米MD Anderson Cancer Centerの研究者から構成されるグループは、がん抑制遺伝子の機能を失ったがん細胞が、周辺の感覚神経を交感神経へと変え、がんの進展に寄与することを見出した。がん細胞と神経の相互作用をターゲットにした新しいがん治療法の開発が期待されるという。

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■がん進展に大きく関与する交感神経

 がん組織は、がん細胞だけから構成されるのではなく、線維芽細胞を周囲に張り巡らせるなどして「微小環境」と呼ばれる特殊な環境を作り出す。

 転移等のがんの悪性化に微小環境が関わっているが、そのなかでも交感神経ががんの進展に大きく関与することが近年判明した。だが、この交感神経の起源やがん細胞と神経が相互作用する仕組みについては不明だった。

■感覚神経由来の交感神経

 研究グループは、口腔や喉頭等の頭頸部に発生する大部分のがん(扁平上皮がん)における、遺伝子変異や遺伝子発現を解析したデータから、がん組織中の神経線維の密度と患者の生存期間とのあいだに相関があることを見出した。がんの進展や抑制に大きく関与するとみられる「p53」と呼ばれる遺伝子の機能を喪失したがん細胞周辺では、神経線維の密度が高いことが分かった。

 増殖した神経細胞における変化を分析した結果、神経伝達物質であるノルアドレナリンが交感神経によって放出されることで、がんが進展すると研究グループは結論づけた。がん細胞が誘導した交感神経はもともと存在するものではなく、舌神経由来の感覚神経であることが明らかになった。

 さらに解析を進めると、交感神経密度の高いがん患者は生存期間が短いと判明した。このため、がん組織の交感神経から放たれるノルアドレナリンを遮断することで、がんが治療される可能性が示唆された。

 前立腺がんや乳がん等のがんでも、交感神経によるがんの進展が確認されている。研究グループは今後、ほかのがんにおける交感神経の密度と患者の生存期間とのあいだに関連があるかどうかについて、検討するとしている。

 研究の詳細は、英科学誌Natureにて12日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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