NYの視点:新たな世界経済リスク、新型肺炎感染の行方を見極める

2020年1月24日 07:41

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記事提供元:フィスコ


*07:41JST NYの視点:新たな世界経済リスク、新型肺炎感染の行方を見極める
新型肺炎感染拡大が世界中で徐々に報じられている。世界保健機構(WHO)は22日、23日に開催した2日間の会合で、時期尚早との判断で「緊急事態」宣言を見送った。このため、いったん、恐怖は緩和した。ただ、中国政府による公表よりも、中国国内の感染例が実際に多い可能性があると懐疑的見方もある。

万が一、SARSのような猛威に発展した場合は、世界経済の新たなリスクになると警戒される。2003年にSARSが蔓延した際、中国国内総生産(GDP)を2%近く引き下げた。
 また、中国経済の構造が輸出型から消費型に移行しつつあるため、一部のアナリストはSARS時よりも、中国経済に与える影響が大きくなるとの警告もある。国内外旅行を含め、年を通じて消費が最も活発となる旧正月の休みに重なったことも手痛い。中国政府が複数都市での移動制限措置を実施していることなどから、中国人は旅行を取りやめ、自宅にとどまる傾向にあるようだ。

■2003年中国GDP
第1四半期:11.1%
(SARS発生後)第2四半期:9.1%

現在の中国経済が世界経済に占める割合も2003年時に比べて拡大しており、その影響が不安視されている。

SARSに比べて改善していることは、中国政府が透明性を増し、感染拡大への対処を強化し、WHOに協力する姿勢を見せていること。このことから、WHOは「緊急事態宣言」を見送ったとの意見もある。2003年時には公表を避け、WHOへの協力も拒んだ。
今後の展開次第では、FRBが成長見通しを修正し、追加利下げを検討する可能性もある。ただ、壊滅的な事態が回避できれば、成長への影響は一時的、限定的となり米国の低金利に加えて、大規模追加減税への期待などからリスク選好の動きが再開することになる。《CS》

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