質量をもった粒子の空間断熱移送に成功  京大の研究

2020年1月22日 11:48

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リープ格子のイメージ図。中央に示された3つの格子点が空間断熱移送に必要な3つの容器に対応する。(画像: 京都大学の発表資料より)

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 1月17日に英Nature communications誌で公開された論文によれば、京都大学の研究チームが、質量を持った粒子の空間断熱移送を世界で初めて成功させたことが明らかとなった。

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 質量のない量子では、条件をうまく整えるとトンネル効果により、隣り合う3つの容器がある場合に最も端の容器に存在している粒子が、真ん中の容器を飛ばし反対側の端の容器に一気にジャンプすることが確認されている。これを空間断熱移送と呼ぶが、今回の京都大学の研究では、質量を持った粒子でそれを実現させた。

 通常であれば、粒子が容器から容器に飛び移るためには、容器間の壁を飛び越えられるだけのエネルギーが必要になる。しかし質量が極めて小さい量子の場合、十分なエネルギーを与えてやらなくとも、壁を飛び越えることが確率論的に可能である。量子におけるこのような挙動を、トンネル効果と呼ぶ。

 空間断熱移動が可能になるのは量子に波動性があるためで、複数の量子が存在する場合には、この波動性によって干渉現象が起きる。A・B・Cの順に並んでいる容器を想定した場合、量子がAからCの容器に飛び移る際、通常は必ずBを経由しなければならない。しかし2つの量子によって、干渉でBの位置における波動を打ち消し、ゼロの状態を作り出せれば、量子はBを経由しないでAからCに一気に移送が可能になるという。

 今回の研究成果を最も単純な形で説明すると上に書いた通りだが、実は容器は3個にとどまらず、無限個で連鎖させても同じことが再現可能だという。これが意味することは、重さのある粒子を理論的には無限の距離において瞬間移動させることが可能になるということである。

 仮にこの粒子に何らかの情報を与えて無限の距離を瞬間移動させることができれば、時間を必要としない情報通信が可能になるのかもしれない。

 この研究では、磁石が鉄を引き付ける強磁性のメカニズムがまだ解明されておらず、その謎の解明につながる足掛かりにもなるという。

 宇宙戦艦ヤマトなどのSFの世界では、瞬間移動はワープ航法という架空の技術として登場してくるが、今回の京都大学の研究は質量こそ小さな粒子ではあるものの、ワープを実験的に再現できる技術を見出したのである。

 もしかすると、本当に宇宙戦艦ヤマトのような航行技術が近い将来実用化される日が来るのかもしれない。ただし、それまでの道のりはまだまだかなり遠そうだが。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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