日本ライフラインの中計に覚える期待

2019年12月19日 06:56

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 収益的に「踊り場」を迎えた感があるが(手元の四季報の業績欄の見出し:横ばい)、先々に夢を持たせてくれる企業も少なくない。日本ライフラインなども、そんな1社と考える。商社機能とメーカー機能を併せ持った、特異な医療機器企業である。

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 1981年に「心臓ペースメーカー」の輸入販売企業としてスタートした。そして1999年以降は自社製品の開発・販売を開始、例えば2001年にはPTCAガイドワイヤー(心臓血管治療用の極細ステンレスワイヤーロープ)を発売、メーカーとしての歩みを本格化した。鈴木啓介社長は同社の姿勢をこう語っている。

 「心臓循環器系の医療機器は欧米を中心とする海外メーカーが技術的にも先行しており、競争力が高い。低侵襲治療(体の痛みを最小限に抑える治療)を可能とする医療機器や最先端商品を国内に導入、早期に利用できるようにするのが我が社の使命の1つと認識している。またメーカーとしては医療現場のニーズを的確に反映するオンリーワン商品の開発を主に展開している」

 同社の主力である心臓・血管疾患の治療機器は、3つの事業領域から構成されている。

★リズムデバイス: 不整脈を治療する、主に体内植え込み型の医療機器。具体的な製品としては「心臓ペースメーカー(心臓の動きを監視し、脈が途切れたことを感知すると電気的な刺激を送ることで正常化する)」「CRT-P除細動機能付き両心室ペースメーカー(重症心不全用機器。心臓の両方の心室に刺激を与えることで同期不全を整える)」「ペースメーカーリード(電気刺激を心筋に伝える導線)」「(昨今設置が増えている)AED」など。

★EP/アプレ―ション: 不整脈の検査・治療を行うための電極の付いたカテーテル等の機器。「EPカテーテル(不整脈の原因となっている部分を特定するための電極の付いたカテーテル)」「イリゲーションカテーテル(脈が速くなる不整脈の原因の刺激伝道経路を、高周波電流で局所的に焼灼し治療するカテーテル)」「心腔内除細動システム(カテーテル治療中に発生した心房細動に対して心臓内から除細動を行い停止させるシステム)」など。

★心臓血管外科・血管外科: 機能が失われてしまった血管や心臓の弁を人工器官に置き換えて治療する医療機器。

 日本ライフラインのグローバル商品としては高血圧治療剤「オルメサルタン」や抗凝固剤「エドキサバン」が知られるが、「冠動脈ステント」なども期待されている。心臓の周りの冠動脈が閉塞状態や細くなり心筋に血液がいかなくなるのを防ぐ「虚血性心疾患」などに使用される機器である。

 そんな日本ライフラインが持たせてくれる「夢」だが、2024年3月期に至る中計がスタートしている。目標として「売上高894億円(前期比96%増)、営業利益205億6200万円(同95%増)」が掲げられているが、斯界に明るいアナリストは「牽引役は日本の医療機器の世界では手薄な徐脈・頻脈(不整脈)治療器。米国ボストン社(低侵襲治療機器に特化した世界的企業)製品の独占販売権の取得」と説明する。

 同社株を投資対象の候補に、と言うわけではない。斯界のアナリストが想定する同社株の平均株価IFIS目標平均株価は時価より300円近く上値にある。中計=夢に期待を寄せていると捉えることができると考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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