NYの視点:今週の注目:米中関税の行方、FOMC、ECB、SNB

2019年12月9日 07:38

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記事提供元:フィスコ


*07:38JST NYの視点:今週の注目:米中関税の行方、FOMC、ECB、SNB
投資家や投機家の持ち高を示す週次統計で、円の売り持ち高は前々週から増加した。一方で、ユーロの売り持ち高は先々週から減少。

今週は米中通商交渉が順調に進み、トランプ大統領が果たして15日に対中関税の発動を見送るかどうかを睨む展開が続く。中国の消費関連商品に対する追加関税は、今後の景気先行きの明暗を分ける。関税は米国の製造業にも影響を与えていることが全米の製造業動向を示すISM製造業景況指数の低迷で明らかになっている。米国のトランプ政権が万が一、全中国製品に関税を発動した場合は世界の製造業活動に一段と害を与え、世界経済が景気後退に陥るとの警戒感が再燃する可能性もある。

一方、現状で、米国の11月雇用統計は予想を大幅に上回り、労働市場が依然強い証拠となった。強い雇用が消費を支え、弱い製造業を相殺し、今後の米国経済の成長を支援することが可能になる。米連邦準備制度理事会(FRB)は10−11日に予定している連邦公開市場委員会(FOMC)で政策を据え置く見込み。雇用統計の結果は現状で、政策金利の据え置きを正当化する。今回の会合では、パウエルFRB議長の会見や、スタッフ予想が公表される予定。インフレが依然低迷していることからFOMCの利下げ軌道は依然変わらずと見る。市場は2020年にあと1回の追加利下げが予想している。

金融政策の行方を左右する米国のインフレ動向を確認するため今週はまた、11月消費者物価指数(CPI)や11月生産者物価指数(PPI)に注目されるほか、11月小売売上高でさらに米国民の消費動向を探る。

欧州中央銀行(ECB)も定例理事会を予定している。ラガルドECB総裁の初めての会合で、ECBは大規模な金融緩和策を維持する見通し。市場はECBの利下げがいったん打ち止めとの見方を強めつつある。スタッフの成長、インフレ見通しに注目が集まる。

英国総12日の総選挙を実施。調査によると、与党勝利が期待されており、ジョンソン首相は与党保守党が勝利した場合、2020年1月末までに欧州連合(EU)を離脱するとしており、秩序のある離脱期待が引き続きポンドの買い戻しに繋がると見る。

■今週の主な注目イベント

●米国
10−11日:連邦公開市場委員会(FOMC)、
パウエルFRB議長会見、FRBスタッフ予想公表
11日:11月消費者物価指数(CPI)
コア指数:予想前年比+2.3%(10月+2.3%)
12日:11月生産者物価指数(PPI)
コア指数:予想前年比+1.7%(10月+1.6%)
13日:ウィリアムズ米NY連銀総裁が講演、
11月小売売上高:予想前月比+0.4%(10月+0.3%)


●中国
8日:11月貿易収支:予想+445億ドル(10月+428.1億ドル)、
輸出:予想前年比+0.8%(10月—0.9%)、
輸入:予想前年比—1.4%(10月—6.4%)
10日:PPI


●ユーロ圏
10日:独12月ZEW調査現状指数:予想‐22.1(−24.7)
12日:欧州中央銀行(ECB)定例理事会


●英国
10日:10月GDP:+0.1%(9月—0.1%)
12日:英国総選挙、与党勝利期待


●日本
9日:7−9月期GDP確定値:予想前期比年率+0.6%(7−9月期+0.2%)、
10月貿易収支

●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
シリア
イエメン
香港《CS》

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