イルカやクジラの首の関節からその接触行動を分析 名大の研究

2019年11月19日 12:01

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クジラ類における後頭部の関節の可動性と獲物の生息場所および獲物を捕まえる方法の関係。(画像:名古屋大学発表資料より)

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 イルカとクジラはクジラ類という同じグループの動物である。その仲間の接触行動の違いを、首の関節の可動域などから割り出すことができることを、名古屋大学理学部3年生の岡村太路さんと同博物館の藤原慎一講師が突き止めたという。

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 イルカとクジラの間に明確な区分はない。同じグループの中で大きいものがクジラ、小さいものがイルカと呼び分けられているに過ぎないというのが実態である。かれらクジラ類は世界中の海や河川に生息し、それぞれの種によって多様な摂食スタイルを持っている。プランクトンばかり食べるクジラもいれば、10メートル以上の体長を持つ海生哺乳類を襲うクジラの仲間もいる。

 例えば、ハンドウイルカは遊泳する動物をくわえて丸呑みにする。ツチクジラは水を吸い込みながら餌を捕獲する。シャチなどは自分より大きなクジラを襲って、その表皮を噛み千切る。ヒゲクジラの仲間はオキアミを大量の海水ごと呑み込み、口の中で濾し取って食べる。

 進化と分岐の過程の中でこのようにクジラ類は多様な摂食行動を身に付けていったわけであるが、絶滅した初期のクジラ類などはどんなものを食べていたのだろうか。その推測は化石の「形」に着目する以外に方法はないわけであるが、従来の研究では、喉の骨の形などを指標にしてかれらの餌の推測が行われていた。しかしこの方法は充分ではなかった。

 そこで今回の研究では、頭骨と首の骨を繋ぐ後頭部の関節、環椎後頭関節の可動性が着目された。クジラ類の首は全体で可動する余地はほとんどないため、頭部の動きはほとんど後頭部の関節だけで担保されている。

 研究では、現存する30種のクジラ類について分析し、その捕食行動がその関節から予測可能であることが明らかにされた。今後、これを応用して、化石クジラ類の食性の復元が進められることになりそうである。

 なお研究の詳細は、Journal of Anatomyに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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