新種の鯨「クロツチクジラ」の存在を確認 国立科学博物館などの研究

2019年9月2日 08:38

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クロツチクジラのイラスト。(画:渡邉芳美)

クロツチクジラのイラスト。(画:渡邉芳美)[写真拡大]

 新種の発見は珍しい事ではないが、ここまで大型のものは耳新しい。北海道オホーツク海沿岸にこれまで存在を認識されていなかった新種のクジラがいる事が確認され、「クロツチクジラ」の名で発表された。国立科学博物館並びに北海道大学の研究である。

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 これまで存在を認識されていなかったというのは、このクロツチクジラは既知種ツチクジラに似ていて、混同されていたからだ。

 ツチクジラと言うのは北半球に生息する大型(最大で12~13メートル程度)のクジラである。新種として確認されたのは1851年のこと。ちなみにツチというのは土鯨ではなく「槌」鯨という意味である。

 さて、クロツチクジラであるが、北海道の捕鯨関係者の間ではその存在を古くから知られており、「クロツチ」「カラス」などと呼ばれていたのだという。

 北海道大学の松石隆教授が主催している漂着鯨類調査グループ「ストランディングネットワーク北海道」は、2008年以降、このクロツチクジラの3個体の標本を入手していた。いずれもツチクジラに似てはいるのだがいくつかの点で相違があった。DNAを分析したところ、やはりツチクジラとは明らかな相違があった。また、同種はアリューシャン列島近海にも生息しているという報告が別途上がっていた。

 ツチクジラの仲間にはもう一種、ミナミツチクジラという南半球に生息する種もいる。それも含めて、ツチクジラの仲間の総合的な再分析が必要であると考えられた。そこで世界各地に収蔵されているツチクジラの標本を精査し、その特徴の分析を行った。

 結果として、クロツチクジラは他のツチクジラと比べて明確に体長が小さいなど異なる特徴を持つものであり、独立した種として新種登録するべきものであるという結論になったのである。

 研究の詳細は、Scientific Reportsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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