【編集長の視点】日華化は伸び悩み業績を織り込み相次ぐ新工場竣工を好感して急続伸

2019年11月6日 09:28

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 日華化学<4463>(東1)は、前日5日に33円高の938円と高値引けして急続伸、今年9月4日につけた東証第1部指定替え後の安値760円からの底上げを鮮明化した。同社株は、前日に今2019年12月期第3四半期(2019年1月~9月期、3Q)決算の発表を予定し、業績そのものは、減収減益転換が見込まれていたが、織り込み済みとして今年6月以来の内外新工場の竣工を手掛かりに「ニッチ・トップ」製品優先の経営基盤が強化されると評価して割安株買いが増勢となった。実際に前日大引け後には3Q累計業績を発表した。

■韓国新工場竣工でフッ素化学品など「ニッチ・トップ」製品開拓に弾み

 同社は、推進中の新中期経営計画の長期ビジョンに基づき、界面化学・毛髪科学のイノベーション、グローバル展開による顧客拡大、為替などの外部環境に左右されない経営基盤の構築を進め、研究拠点の開設、新規化学品の開発・市場投入などを積極化させてきた。生産拠点の増強でも、国内工場の再編・集約化、中国拠点の統合など次々に打ち出し、今年6月には鹿島工場第2工場(茨城県神栖市)を竣工させ、10月25日には韓国子会社の新工場(大韓民国大邱廣域市)を竣工させた。

 とくに韓国の新工場は、長期ビジョンの重要戦略製品の一つとする高付加価値のフッ素化学品などの増産体制の構築を目指して約18億4500万円を投資して2018年9月に着工して竣工した。すでに試運転も行い、2020年4月に本格稼働の予定で売り上げ計画は、2018年実績の約36億円を2025年には約60億円に拡大させる。同社は、国内トップシェアを誇るクリーニング薬剤やキャタライザー型脱墨剤など「ニッチ・トップ」製品を数多く保有しているが、新たな「ニッチ・トップ」製品として高成長が期待される。

 前日大引け後に発表された同社の今期3Q業績は、前年同期比6.8%減収、37.1%営業減益、43.7%経常減益、72.1%純益減益となった。業務用クリーニング薬剤やヘアケアブランドなどは堅調に推移したものの、主力の繊維加工用薬剤が、米中の貿易摩擦の影響を受け、アジア通貨安、鹿島工場の減価償却費増が重なったことなどが要因となった。今2019年12月期業績は、今年4月の下方修正通りに売り上げ480億円(前期比4.4%減)、営業利益16億円(同30.5%減)、経常利益16億円(同34.2%減)、純利益10億円(同59.3%減)と見込んでいる。

■長大の陽線包み足を示現し半値戻し水準からまず全値戻しの年初来高値を奪回

 株価は、年初来高値1061円から今期業績の下方修正や日本製品の不買運動などの日韓関係の悪化が重なって850円安値へ調整し、新脱墨剤の技術協会賞受賞でストップ高して985円へ急伸する場面もあったが、今期第2四半期(2019年1月~6月期、2Q)の減収減益業績が響いて再調整、年初来安値760円をつけた。同安値からは売られ過ぎとして底上げ、足元では韓国新工場竣工をハヤして900円台を奪回、テクニカル的にも、年初来高値からの調整幅の半値戻しを達成するとともに、上昇トレンド転換を示唆する長大の陽線包み足を示現した。PERは14倍台、PBRに至っては0.75倍となお割り負けており、「半値戻しは全値戻し」でまず年初来高値を上抜き、2017年2月につけた東証1部指定替え後高値1388円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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