1gのDNAに10億TBの記憶能力 量子コンピュータの能力は桁違い

2019年10月29日 11:31

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 グーグルが「量子超越性の実証」に成功したと発表した。「量子超越性」とは、カリフォルニア工科大学教授のジョン・プレスキルが定義した概念だが、量子コンピュータが在来のコンピュータでは「まったくできないことをする必要がある」としていた。

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 グーグルから漏洩したとされる論文では、グーグルのプロトタイプの量子プロセッサー「Sycamore」と、世界最速のスーパーコンピュータ(オークリッジ国立研究所)に統計数学の問題を解かせ、その結果、グーグル「Sycamore」が3分20秒で解いたのに対し、世界最速と言われるスーパーコンピュータIBM「Summit」では1万年かかるとした。

 これに対しIBMは、在来型のスーパーコンピュータIBM「Summit」は、この問題をグーグルが考えるほど難しい問題ではなく2日半で完了できたはずだと、グーグルの主張に対し真っ向から反対している。さらに、最適化が進めば2日半よりも短縮できる可能性もあるとしている。こうなると、確かに在来型のスーパーコンピュータよりもかなり早いが、「量子超越性」を証明したとは言えないレベルの差であると言える。

 そもそも量子コンピュータはその処理能力が膨大であり、データ保存が難しい特性を持ち、新しい記憶媒体を必要としている。その候補として挙がっているのがDNAだ。「1gのDNAに10億TBの記憶能力」があると見られており、これまでの2次元の記憶媒体が3次元となるなど、記憶媒体も極小化される期待がある。量子コンピュータはまだまだ実験段階で、実用化されるまでには多くの技術開発が必要とされている。

 ドローンや空飛ぶ飛行機などでは夢が語られても良いが、すぐにでも実用化されるものでもない。量子コンピュータも実用化が諦められるものではないが、AIに使われ始めると、まず軍事用や金融市場などで使おうとするのが人間の性だ。すると、ドローンと同じく兵器としての危険性が先行し、広く生活の場で使われるまでに時間がかかることとなる。

 何しろ量子コンピュータでAIを作れれば、人間の能力を超える可能性が生まれてくる。いよいよSF映画で描かれ続けてきた、感情を理解するAIが登場するかもしれない。

 しかし、夢を語るのはほどほどにして、扱いにくい量子コンピュータの仕事を限って、在来のコンピュータが苦手とする分野、例えば「組合せ最適化問題」にスポットを当てて使用するなどを考えるべきなのであろう。「組合せ最適化」は在来型コンピュータの能力に対して、人間の方がかなり、おそらくは数千倍以上優れているものと感じている。この分野において量子コンピュータでAIを作れたら、かなりの働きをするものと思われる。

 例えば、金融市場では、無意味なぐらいシミュレーションが可能となってしまうかもしれない。軍事技術では、既に深く静かに実用化されつつあるのかもしれない。これがドローンなどと組合せされると、核兵器と同じように「使えない兵器」となるくらい、人類の存亡にかかわることになるのだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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