マルチユースレバーのおはなし

2019年9月20日 11:35

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 昨今のクルマの運転席に座ると、国産車の場合はステアリングポストの右側にライト関係のレバー、左側にはワイパー&ウオッシャーのレバーが生えている。

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 本国で左ハンドルである輸入車では、日本向けの右ハンドル仕様の車でも、左側のレバーが方向指示器とランプ類、右側がワイパー・ウオッシャー類のレバーと国産車と逆になっている。これは、右ハンドル用メーターパネルだけを準備して、他の部品が組み込まれているステアリングポストごと、そっくり右側に持ってきたのが原因の様だ。

 本来、方向指示器は窓に腕を掛けた状態で操作する事を考慮して、右ハンドル車は右に、左ハンドル車は左側にある。

 「マルチユースレバー」は文字通り、マルチな機能を操作するレバーを指す。

 ライトの機能では、OFF、スモールライト点灯、ヘッドランプ点灯、機種によってはAutoポジションつまり、日没やトンネル下で周囲が暗くなった際に、自動的にスモール点灯からヘッドランプ点灯や、夜明けやトンネルを出た際に消灯する機能設定が有り、アッパービームとロアビームの切り替えもする。

 あと、このレバーで方向指示器を操作し、パッシングライトの機能も持たせてある。

 ワイパーの機能では、OFF、間欠ワイパー、普通速度ワイパー、ハイスピードワイパー、機種によってはAutoポジションで、フロントガラス上部のセンサーで雨滴を感知して、間欠~低速~ハイスピードで降雨状態に応じてワイパーを作動させる機能の他、ウインドウォッシャー液を噴射させる機能も持つ。

 加えてハッチバック等の車種では、リヤワイパーが装備されて居り、リヤウインドウにも間欠や普通速度でのワイパー作動と、リヤガラスへのウインドウォッシャー液を噴射させる機能も備える。

 いづれにしても、1本のレバーで、ランプ類の多くの動作をさせ、もう片方のレバーでワイパーやウオッシャー機能をいろいろ操作する便利な機構だ。

 昔の車は、ヘッドランプやワイパーの操作は、ダッシュボードから生えたプルスイッチで操作していた。今のマルチユースレバーの原点になる、ステアリングコラムに生えたレバー操作方式を、初めて市場導入したのはマツダだった。

 そのモデルのヘッドランプスイッチは、ステアリングコラムに生えた、短いレバーだったと記憶している。噂だが、マツダはこれを特許申請したという。

 マツダのシェアがトヨタ並みなら、他社は追従せざるを得ず、これは決定打だったはずだが、他社は特許を回避するために、レバーを反転させて、今あるマルチユースレバーのレイアウトで対抗した。

 カセットテープはご存知だろう。これは、正しくは「コンパクト・カセット」という、オランダのフイリップスの発明品だ。

 フィリップスは、この規格を普及させる目的で、特許申請せずにオープンとした。コンパクト・カセットは、当時の技術ではオープンリールと比べ、音質面では苦しかった。

 「オープンリールの音をカセットに」と、1976年、ソニー、パナソニック、ティアックの3社は「エル・カセット」という、コンパクトカセットより一回り大きなカセット規格で特許を取った。商品力としては優秀だったが、その後のコンパクト・カセットの技術的進歩もあり、エル・カセットは消えて行った。

 結果は、現在の状況である。マルチユースレバーの現状と重なり合う。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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