韓国大手旅行「ハナツアー」の日本法人、通期予測を大幅に下方修正

2019年8月24日 13:26

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■事前予想に比べ、売上高は33.1%減、営業利益は83.4%減

 HANATOUR JAPAN(6561)は14日、19年12月期第2四半期(4月~6月期)決算を発表。売上高は前年同期比1.3%減の42億700万円、営業利益は同25.7%減の5億7,100万円、経常利益は1億6,700万円の赤字、純利益は3,100万円の赤字だった。

 同時に業績の下方修正を発表。売上高は当初予想の33.1%減の68億8,700万円、営業利益は同83.4%減の3億3,200万円、経常利益は19億4,200万円から14億6,000万円の赤字、純利益は13億300万円から9億6,500万円の赤字とした。

■日韓関係の悪化に伴い韓国からの訪日観光事業が不透明に

 HANATOUR JAPANは韓国大手旅行代理店「ハナツアー」の日本法人として2005年に設立。訪日外国人観光客の増加に伴い業容拡大してきたが、日韓関係悪化に伴い業績へ多大な影響を与える可能性が高まったため下方修正を行った模様。

 22日に公表した決算説明会資料によると、2018年度の訪日外国人観光客数は3,119万人と過去最高で、その内韓国からは754万人の観光客が訪れた。2019年1月~6月までの韓国からの訪日外国人観光客数が386万人と、前年同期と比べ15万人減少した。この動きと同時に韓国ウォン安による為替差損が発生していることも下方修正要因だ。

■主力の旅行事業が悪化も、ホテル等施設運営事業は増収増益へ

 セグメント別の状況を見てみると、旅行事業の売上高が前期比23.4%減、セグメント利益は同57.6%減。免税販売店事業の売上高が38.3%減、セグメント利益は赤字転落と、韓国旅行者向けのコンテンツは軒並み不調を予想。一方ホテル事業は開設した大森海岸や札幌が稼働好調で、売上高は53.9%増、営業利益は206.3%増と予想する。

 またバス事業は減収を予想するも、バスを自社保有からリースバック方式に変更したことで、ランニングコストを削減に繋げられるため、営業利益は148.6%増と予想した。

■韓国外の観光客向けの事業強化が喫緊の課題

 韓国発の会社ということもあり、HANATOUR JAPANは韓国観光客向けに事業を拡大してきたが、日韓の外交関係が過去最悪レベルで悪化していることから、業容の悪化は避けられない状況だ。しかし、2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人観光客は増加を予想し、ビジネスチャンスは多いにあると言える。

 HANATOUR JAPANは事業別売上高における韓国の割合を、前期2Qの66%から56%まで引き下げられており、「韓国」頼みの事業セグメントの脱却を進めている。日韓関係の動向には注目だが、次世代の成長には取り組んでいる東南アジア及び欧州向けの事業成長が強く望まれる。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

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