米制裁受けたファーウェイ、独自OSの開発動向は? 鴻蒙は工業用か

2019年7月22日 11:47

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 Googleとの一部取引停止騒動を受け、Android OSの代用を探す必要に迫られていたファーウェイ。独自OS「鴻蒙(ホンメン)」の開発を進め、早ければ今秋に自社端末に搭載するのではという噂があった。しかし中国国営新華社通信による18日の報道によると、同社取締役の陳黎芳(チェン・リーファン)氏が、鴻蒙はスマホ用OSではないことを明言したという。独自OSの有力候補とされていたが、鴻蒙は家電や自動車などのIoT端末向けに開発している工業用のOSだったという。

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 結局のところ、ファーウェイは独自OS路線ではなく、規制解除を待ってAndroid OSを今後も使用する方針と見られている。しかし、ファーウェイとの取引を停止するのはGoogleだけでない。インテル、クアルコム、ブロードコムなど大手半導体製造メーカーや、半導体デザインメーカーのアームなども含まれている。これらの企業はファーウェイの独自プロセッサ「Kirin」を構成する部品を供給している。OSのみならず、プロセッサの生産にも影響が出ることが予想される。

 5月の制裁報道以来、一時はスマホの出荷台数が40%減少したともいわれ、窮地に追い込まれているファーウェイだが、日本国内のSIMフリースマホのシェアでは、2019年上半期は1位をキープ(BCNランキングより)。ただ2位だったASUSなど他のメーカーに押されており、制裁の影響はエンドユーザー側にも表面化しつつある。

 ではファーウェイは独自OSの開発を諦めたのかといえば、その可能性は低いだろう。仮に制裁が解除されたとしても、今回のような事態が再び起こる可能性は十分に考えられる。ネット上では、鴻蒙ではなく「Kirin OS」という名称のモバイルOSを開発しているという噂もある。いずれにしても、独自OSの実現には、アメリカのメーカーに依存しすぎる現状も打開しなければならない。ファーウェイの行く末がどうなるか、今後発表される新製品に注目していきたい。(記事:森野沙織・記事一覧を見る

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