中国ノート(1)【中国問題グローバル研究所】

2019年7月11日 17:00

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記事提供元:フィスコ


*17:00JST 中国ノート(1)【中国問題グローバル研究所】
【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。所長の遠藤 誉教授を中心として、トランプ政権の”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、また北京郵電大学の孫 啓明教授が研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。

◆中国問題グローバル研究所の主要構成メンバー
所長 遠藤 誉(筑波大学名誉教授、理学博士)
研究員 アーサー・ウォルドロン(ペンシルバニア大学歴史学科国際関係学教授)
研究員 孫 啓明(北京郵電大学経済管理学院教授)

◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信しているアーサー・ウォルドロン研究員の考察を複数回に分けて配信する。

———

概要

中国の外交政策は、国際動向による産物ではなく、中国国内政治の動向によるものである。我々はこれを念頭に、中国の軍事費の増大、国境侵犯、そして朝鮮戦争時並みの反米プロパガンダを分析する必要がある。

我々はアメリカ人である。我々は、世の中の出来事がアメリカのせいであると直感的に思ってしまう。中国人も、香港での動乱(2009年6月)を不特定の国外勢力によるものとする。多大な研究や出版物は未だにワシントンに鍵があると模索する。あの冷徹で冷酷な中国人らをヒステリックにさせるものを見つけようとするが、これは時間の無駄である。

中国の分析をするときに、我々はその混沌・残酷・マフィア的な中国政治の中にある根源を見つめることを学ぶべきである。レーニン(1870-1924)曰く、「誰が? 誰を?」(кто? Кого?)、これを忘れないようにしなければいけない。

毛沢東(1893-1976)の死後以来、中国国内政治は最も緊張感が高まっていると共に、中国が1950年代以来最も国際社会に対して敵対的な態度を取っている状況にあると思われる。彼らは豊かになり、そして一部の兵器開発(対艦ミサイルなど)において一歩先を行っている。70年代以降のアメリカにとっての外交の前提は、中国は友好的であることだったため、これらの展開に対して我々は衝撃を受けざるをない。

ここに書くことは、私なりにこれらの展開を理解しようと試みるものである。

I 診断
中国の外交政策が大胆に転換し、今やアメリカは不倶戴天の敵になった。この転換はいつ起こったのだろうか? 公式発表などを見る限り、習近平(1953-)政権より先立つものだが、2013年以降確実なものになった。政策転換の輪郭が見えたのは、1995年に中国が南沙諸島のミスチーフ礁をフィリピンから強奪したときであるが、それ以降は国内で蠢いていた。

2015年、中国は南洋(南シナ海)を主権の及ぶ領海・領土であると宣言し、ある種の国際デビューを果たそうとした。指導部が国内における権力基盤を盤石にするほか、人民からの支持を得るための国粋主義的なパフォーマンスと推測される。中国は、大国として勃興する際に隣国が屈服するであろうと期待した。そして、アメリカが予告なく舞台から降りた。ハーグの常設仲裁裁判所は、中国の行動が完全に違法であるという判決を2016年6月12日に下した。

二点注意することがある。一つ目は、フィリピンは屈せず、訴え出たこと。二つ目は、中国は完全にこの判決を無視したが、中国自身は仲裁裁判所の管轄内であると自ら宣言しておきながら無視することを決めたため、中国の国際的な立場を悪化させるとともに、中国の約束や署名にどのような拘束性があるのかを疑問視せざる得ない状況にした。この問題は永久に残ると共に、中国が例外であることは誰も認めないだろう。ナポレオン(1769-1821)は言った。「スペインは、余の潰瘍であった」、と。

これは中国にとって悪い兆候である。政治学者らは指摘するが、新興勢力に対して国家はバンドワゴン効果の如くバスに乗り遅れないようにするか、対抗的な連合を組む。学者らは、各国がどの選択肢をとるかまでは予言できない。しかし、あの判決を無視することを決めて3年たったいま、対抗的な連合を組む選択肢を取ったことは明白である。これは経済的な次元から、軍事政治的な次元にまで発展した。

(この評論は6月12日に執筆)
(つづく~「中国ノート(2)【中国問題グローバル研究所】」~)
※1:中国問題グローバル研究所(https://grici.or.jp/)《SI》

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