動かないオスが繁殖能力が高い 従来予想を覆す結果 岡山大

2019年7月6日 12:00

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コクヌストモドキの歩行軌跡 よく歩く個体の交尾回数が多いが、歩かないオスのほうが受精に強い精子を持つ(写真:岡山大学の発表資料より)

コクヌストモドキの歩行軌跡 よく歩く個体の交尾回数が多いが、歩かないオスのほうが受精に強い精子を持つ(写真:岡山大学の発表資料より)[写真拡大]

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 いまだ謎の多い生物の繁殖戦略。岡山大学は5日、ゲノム解析の完了した害虫の歩行軌跡を計測した結果、歩かないオスが多くの子どもを残す傾向にあるという研究を発表した。動くオスは交尾の機会が多いという従来説を覆す予想外の結果だという。

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■精子競争力の高さと脚の長さ

 岡山大と英エクセター大から構成される研究グループは、貯蔵された米や小麦に悪影響を及ぼす害虫「コクヌストモドキ」を使い、繁殖能力の高いオスを追究する実験を実施した。歩行軌跡からよく歩く個体と歩かない個体を選別し、22世代にわたって育てたという。

 実験の結果、よく歩くオスのほうがメスとの交尾回数が勝っていた。だが卵の授精に使われる精子の量を調べたところ、歩かないオスの精子が使用される頻度が高かったという。この結果は、歩かないオスは精子競争力が高いことを実証する。

■生物の多様な繁殖戦略

 昆虫類では、メスとの交尾をめぐるオスの戦略に多様性があることが徐々に判明している。19世紀の生物学者チャールズ・ダーウィンが進化論を提唱した時代には、子孫を残すためのオスの最終ゴールは交尾と考えられた。

 だが繁殖にかかわるオスとメスとのあいだに利害対立がある「性的対立」が、近年注目を浴びている。長期的な利益のために短期的な利益を犠牲に個体が行動する「互恵的利他主義」を提唱した進化生物学者、ロバート・トリヴァースなどによって、1970年代には性的対立という概念は提唱されていた。

 1990年代後半に入り、ほとんどの繁殖システムが一夫一妻ではないと判明した。再び性的対立が注目されはじめ、精子が受精できるかどうかがオスにとっての最終ゴールとみなされるようになった。

■長い脚への進化との関連が今後の課題

 今回の実験では、歩かないオスのほうが6本の脚のすべてが長くなることも判明した。コクヌストモドキは脚でメスの体をこすり求愛するため、長い脚の求愛への効果について、研究の進展が期待されるという。

 研究の成果は、国際雑誌Behavioral Ecologyにて5日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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