迷走を続けるジャパンディスプレイに、起死回生のチャンスは来るのか? (下)

2019年7月5日 12:24

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 JDIは辛うじて中国の嘉実基金管理グループから522億円(うち米アップルが107億円を負担)、香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントからは161億円~193億円の幅で金融支援を受けられると発表し、不足する117億円の調達を進めている。

【前回は】迷走を続けるジャパンディスプレイに、起死回生のチャンスは来るのか? (上)

 しかし既に決定した筈の2社の支援には、前提条件が設定されており、決して鉄板ではない。嘉実基金管理グループが前提とする支援の条件は「中国政府の介入がないこと」であり、オアシス・マネジメントの条件は、(1)JDIのパネル販売が順調に推移すること、(2)JDIの株価が30円以上を維持すること、(3)JDIが受ける支援総額が600億円以上になること、などである。

 「中国政府の介入」については政治的な要素が含まれる事項であり、JDIの主要顧客がパネル購入を維持するかどうかは、当該企業の販売状況によるだろう。株価に基準を設けて、その基準値を下回らないようにJDIに求めることは無理筋だ。どちらの支援者も腰が引けており、撤退の口実を探しているかの印象を持つのは、悲観的過ぎるだろうか?

 JDIの液晶パネルの主要顧客であるアップルが、米中貿易戦争と日本の携帯料金の変更によって、どんな影響を受けるかということも大きな変動要因だ。米国が中国に対して課す関税の範囲と、規模、期間によっては、回り廻ってアップルの業績阻害要因となる懸念がある。

 日本の携帯料金が通話料金と端末価格に完全分離されることも、アップルの逆風になる。もともと、iPhoneは先進技術を揃えた多機能が売りだった反面、他社製品と比較すると割高な品揃えとなっていたことは否めない。

 だが日本の携帯市場では、端末価格を通信料金に上乗せするシステムが主流だったため、iPhoneに設定されていた高価格が購入意欲に影響を与えることが少なかったようだ。日本におけるiPhoneのシェアが他国のそれと比較して圧倒的に高かった理由の一つだ。

 今秋実施される携帯電話の通信料金の変更では、端末価格の割引は2万円が限度となる。どう見ても割高感が際立つiPhoneの売上がどんな風に推移するのか、関心を持っている人は多い筈だ。日本での売上減少がアップルの業績にどんな影響を及ぼすかは分からないが、心理的なインパクトは少なくない。
 
 JDIの業績を左右する不確定要素が想定される以上、海千山千のファンドと言えども毅然とした態度は示し難いだろう。奈落の底も、起死回生の一打もありそうな、そんな切迫した状況にJDIは翻弄されている。

 なお一部では、日本が半導体素材の韓国への輸出に係わる取り扱いを、3年間有効な「包括許可」から、契約ごとの「個別許可」へ変更したことを根拠にして、サムスン等の製品の製造に多大の影響が発生し、有機ELパネルなどの出荷が減少するとの見方もあるようだ。ここれにより、JDIのパネル出荷が増加するのでは、というのだが、実態は輸出の事務手続きが若干変わる程度のことと理解すべき変更であり、「風が吹けば桶屋が儲かる」の様な神風がJDIに吹くことは、期待薄だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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