ドル・円は上げ渋りか、弱い米雇用統計で根強い利下げ観測

2019年6月10日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST ドル・円は上げ渋りか、弱い米雇用統計で根強い利下げ観測
10日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る展開を予想する。米トランプ政権による対メキシコ関税上乗せ見送りでリスク選好的な円売りに振れやすい。ただ、前週末の低調な米雇用統計を受け連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が広がり、ドルの重しとなりそうだ。

トランプ米大統領はメキシコ政府の不法移民対策が不十分としてきた問題で、予定していた同国からの全輸入品への制裁関税発動を見送る方針を示した。前週は両国の対立で世界的な貿易環境の悪化を懸念した円買いが優勢となっていたが、制裁回避により週明けのアジア市場ではリスク選好的なムードが広がり安全通貨買いを巻き戻す動き。ドル・円はドル買い先行で寄り付いた後、日経平均株価や上海総合指数などの強含みを背景に円売り優勢となり一時108円60銭台に浮揚した。欧米株式先物もプラス圏を維持しており、目先も株高を見込んだ円売りは続くだろう。

ただ、この後の欧米市場で、米利下げ観測からドル・円の上昇は限定的となる見通し。7日に発表された米5月雇用統計は、失業率が3.6%と半世紀ぶりの低水準を維持。ただ、平均時給は前年比+3.1%と予想を下振れたほか、非農業部門雇用者数は前月比+7.5万人と市場予想を大きく下回り、全般的に低調な内容となった。それを受け、早ければ今月18-19日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利引き下げの思惑が広がる。株式市場では利下げを歓迎し株高が見込まれる反面、米10年債利回りは2017年9月以来の水準で低迷しておりドル買いは抑制されそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・4月鉱工業生産(前月比予想:-1.0%、3月:+0.7%)
・17:30 英・4月貿易収支(予想:-130億ポンド、3月:-136.5億ポンド)
・23:00 米・4月JOLT求人件数(予想:749.6万人、3月:748.8万人)《FA》

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