「人生100年時代」の一考察 就労不能保険に健康法 100年時代への備え

2019年4月29日 09:31

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 「人生100年」を冠にした記事・書籍に接する機会が増えた。例えば『人生100年のプログラムー就労不能保険』といったタイトルの記事を、直近目にした。『人生100年、自分の足で歩くー寝たきりにならない方法教えます(かじやますみこ著、プレジデント社刊)』という一冊を読んだ。

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 就労不能保険と呼ばれる保険があることは知っていた。いささかデータは古いが生命保険文化センターが発表した「2016年度、生命保険に関する全国実態調査」の中に「世帯主が就労不能になった時の生活資金に対する安心・不安感」というアンケート結果が載っている。「非常に不安:41.8%」「少し不安:36.9%」を合わせると8割近くが「不安感」を抱いている。当然だろう。

 そこで44歳の若手記者に依頼、身代わりとして某保険会社の当該保険の実態を調べてみた。「44歳」に拘ったのは「男の厄年(前厄・本厄・後厄)」をなんとか切り抜けた途端に、まさに子育てに資金がかかるタイミングで就労不能な病に取りつかれたという前提で考えたかったからだ。

 この歳なら連れ合いも働ける年齢。「月額30万円×6か月間支給」の場合は月々の保険料は6944円。怪我の範囲ならこの程度で何とかクリアできるが、「死に至りかねない病」を患った場合は不十分。そこで同時に掛け捨ての「定期死亡保険(保険料月額1万1042円、65歳満了、保険金額1000万円)」に加入することにした。保険料は計1万8000円弱。まあそれなりの備えにはなろう。

 人生、一歩先は分からない。働き盛りの世代に入る前にこうした保険の加入を前向きに検討する啓蒙活動がなされて然るべきと考える。

 前記の書籍にはノンフィクション作家らしい取材力を痛感した。著者は「非」健康寿命シニアの大方が「整形外科」範囲の病を患った結果、と緻密なデータから分析している。いわゆる「ロコモ」症候群者である。筋肉や関節・感覚器など身体を動かすために必要な器官に障害が起こり、移動機能の低下状態に陥ってしまった人々だ。

 名著を一言で表すのは、失礼は百も承知で記すと「毎日5分。“歩く”を支える筋肉だけ鍛えれば健康寿命シニアへの道が開ける」という内容である。もっと前に出版して欲しかった。MRIとやらに「脊柱管狭窄症」を見抜かれ、目下右足の痛み・痺れで長時間歩くのが苦痛の身にとっては、「もっと早く読みたかった」と残念でならない。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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