メルカリが考える「AIセリング」 『売ることを空気にする』AI自動出品・売買の進化

2019年4月1日 11:06

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 3月28日に「メルカリAI技術説明会」が行われ、AI時代に望まれる「セリング」を実現するメルカリの考えが披露された。出席者は、取締役兼最高製品責任者(CPO)濱田 優貴氏、AI Engineeringチームディレクター木村 俊也氏、AI Engineeringチームマネージャー山口 拓真氏だった。

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 メルカリが目指すところは、『売ることを空気にする』とのことだった。AI技術を駆使して、出品者の手を煩わすことなく、自動で「出品」「値付け」「売買交渉」などを行い、出品者に市場のことを考えることなく売買を成立させることのようだ。現在の株式市場における電子売買の先を行くのであろうか。

 「売ることを空気にする」とは意外に古風な表現だが、これは「MRを基本とした在来の市場原理」に基づくものだ。言い換えると「コンビニ」の売買形態をAI自動化して、市場の動向も含めてタイムリーにAIが動作することである。Docomoのビッグデータなどを利用して、市場の動きを詳細にタイムリーに分析し、ニーズを捉えるものだ。

 ユーザーがカメラで売りたいものを撮影するだけで、AIがすべてを判断する。このメルカリの考え方は、「売買」の概念を必要とせずに「出品」「売買」が出来ることから、売る側と買う側のミスマッチが解消され、消費の無駄が大幅に削減できることが期待される。必要がなくなったものをタイムリーに売りに出し、必要なものを買うことが出来る。物々交換が機敏に行えるような効果があり、無駄な消費の世界が減ることが考えられる。しかしそれは同時に、経済活動の停滞を招く危険でもある。人々は無駄を嫌い、新規の生産販売が縮小する恐れがある。

 例えば、食品ロスをなくすことは地球温暖化に貢献することでもあるが、同時に、生産や消費の低迷をもたらすことでもある。痛し痒しだが、メルカリが考える「売ることを空気にする」先にあるのは、「市場創出」の動きにつながる可能性だ。潜在している「消費のニーズ」が掘り起こされ、新たな市場の拡大を促す効果が生まれることだ。

 「メルカリ」にはこの効果、すなわち「市場創造」のシステムにつなげてほしいものだが、それにはビッグデータなどを利用する「AI育成」のための「教師データ」が「ポスレジのバカ」の現象、つまり、これまでの顕在化している市場だけを認識して「潜在市場」に気付かない恐れに着目し、AIに潜在市場を探らせるメカニズムを、ぜひ考えてほしい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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