歴史が地続きであること表すタイトルにも大きな反響!「いだてん」第11話レビュー

2019年3月24日 19:32

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■日本人がはじめて挑戦したオリンピックを描いた第11話

 NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリンピック噺~」。10話ではついにオリンピックの開催地であるストックホルムに着いたものの、前例のない国際大会の出場に四三たちはプレッシャーに押しつぶされていく。

【前回は】ついにストックホルムに降り立つ四三一行!「いだてん」第10話レビュー

 しかし、四三と弥彦はそれぞれの立場を理解しつつ、大会までの練習期間までに打ち解けていくことでメンタルも立て直しつつあった。なんとか一枚岩になろうとする中、出場の際に掲げるプラカードの国名表記が彼らの間にヒビを入れようとしていた。

■「NIPPON」を掲げて四三たちが入場

 やっとストックホルム入りした嘉納治五郎(役所広司)も含め、開会式の際に持つプラカードの国名表記について相談する一行。概ね「JAPAN」という表記で固まっていたが、四三だけが「日本」という表記にすべきだとかたくなに主張を譲らなかった。

 諭そうとする大森監督(竹野内豊)の意見に食い下がることなく、ついには弥彦(生田斗真)までへそを曲げ始める。その様子に治五郎は不快感を示すかと思えば、むしろお互いの意見を言い合える相互理解が進んでいると評価した。その結果、プラカードの表記は四三の意見も反映しつつ「NIPPON」に落ち着いた。

 「NIPPON」のプラカードを持って入場した選手団。まずは弥彦の短距離走からはじまるが、治五郎は海外選手の大きさに驚きを隠せなかった。一方控室にいた弥彦は、負けが見えている戦いに参加するというプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。そしてその心中を、母親の和歌子(白石加代子)に手紙にて吐露していたのだった。

■すべてを出し切った弥彦に悔いなし

 弥彦からの手紙を受け取ったシマ(杉咲花)は、急いで和歌子に渡すのだった。同席していたものすべてがうろたえる中、和歌子はあえて心配はないと言い切る。彼女は文字が読めなかったのだが、手紙の内容を見ずとも弥彦は自らを奮い立たせて戦っていると言い切るのだった。

 同じころ、大森監督は弥彦の元を訪れていた。今にも死にそうな顔をしている弥彦に対し「敵は時間、タイムだ。君と走る人たちは敵じゃない、むしろ時間を倒すための味方だ」と助言していた。その言葉を聞いた弥彦は再び自分に喝を入れレースに臨んだものの、ダントツのビリ。しかし自己タイムを0.2秒も縮め、見事自分に打ち勝つことに成功したのだった。

 はじめてオリンピックのレースに出た三島弥彦に焦点を絞った第11話。自らに打ち勝つという清々しいスポーツマンシップを見せた弥彦の姿は美しく、SNSでも大きな反響を見せた。さらにこの後に参加した400m走は、完走して決勝に出られたものの、力量の差を考えて棄権。

 その際、「100年かかっても日本人は短距離で勝てない」と弥彦は言い残すが、これはリレーでメダル獲得まで漕ぎつけている現代とリンクする台詞で、非常に大河ドラマだと感じさせてくれる台詞でもあった。次回からいよいよ四三のマラソンがはじまるが、こちらもどのようなドラマになるのか非常に楽しみである。

 「いだてん~東京オリンピック噺~」は毎週日曜20:00からNHKにて放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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