【小倉正男の経済コラム】静岡県袋井市:クラウンメロン&たまごふわふわのディープな遠州

2019年3月19日 12:24

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

静岡県袋井市は人口が8万8000人なのだが、人口増加のトレンドを維持している。地方都市が人口を増やしているのはきわめてレアケースである。袋井はそれを実現している。

静岡県袋井市は人口が8万8000人なのだが、人口増加のトレンドを維持している。地方都市が人口を増やしているのはきわめてレアケースである。袋井はそれを実現している。[写真拡大]

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 静岡県袋井市は人口が8万8000人なのだが、人口増加のトレンドを維持している。地方都市が人口を増やしているのはきわめてレアケースである。袋井はそれを実現している。

 近隣に掛川市、磐田市、それに浜松市があるが、袋井はベッドタウンとして人口を増やしているわけではない。袋井に製造業、サービス業などのビジネスが集まり、じわじわと人口が増加している。どうやら、そういうことらしい。

■エコパスタジアムでラグビーワールドカップ4試合を開催

 袋井には観客5万人超を収容する小笠山総合運動公園・エコパスタジアムがある。この9~10月にラグビーワールドカップが開催される。エコパスタジアムでは日本VSアイルランド、南アフリカVSイタリアなど4試合が行われる。

 エコパスタジアムは、2002年のサッカーのFIFA日韓ワールドカップでもイングランドVSブラジル、カメルーンVSドイツなどのゲームの舞台となった。巨大なスタジアムだが、スタンドが緩やかな傾斜でつくられており、観客にとってはゲームが観やすい。余裕のあるつくりで居心地は悪くない。

 エコパスタジアムの最寄り駅であるJR東海道本線・愛野駅前には、ラグビーボールの巨大なモニュメントが設置されている。高さ7メートル、幅3メートルという大きなものでラグビーワールドカップの前景気を盛り上げている。

 ラグビー、サッカーでは、ヤマハやジュビロ磐田がこのエコパスタジアムでゲームを開催している。五郎丸歩が、ゴールキックの忍者ポーズ・ルーティンでエコパスタジアムを大きく揺らしたわけである。  エコパスタジアムは、9~10月のラグビーワールドカップで記憶に残る感動を生み出す舞台になるに違いない。

■「一木一果」で育てられるクラウンメロン

 袋井の名産は、なんといってもクラウンメロンである。メロンは果物の王座を占めているのだが、クラウンメロンはメロンのなかでもトップの存在である。

 クラウンメロンとは、袋井市、磐田市、掛川市、森町でつくられたメロンのブランドにほかならない。

 銀座・千疋屋でも店頭で真ん中に置かれているのは、このクラウンメロンである。「静岡産のマスクメロン」として置かれている。最高ランクでは桐箱入りで1個3万円以上の価格で売られている。

 静岡産となっているが、ヒヤリングしたら「置かれているものの多くは袋井産」という事実を確認した。やはり袋井のクラウンメロンが果物マーケットのトップに君臨している。

 クラウンメロンは温室で育てられる。温室は、南を向いた面が大きくされ、日光を多く採り入れられている。ひとつの木に3個の実がつく。そのうち1個だけ残して最高クラスの美味しいメロンをつくっている。「一木一果」で大切に育てられているわけである。

■「葛城北の丸」のクラウンメロン・スィーツ

 クラウンメロンには、大隈重信が深く関係している。クラウンメロンの品種は、「アールス・フェボリット」というものなのだが、イギリスから伝わっている。大隈重信がイギリスから日本に伝えた。「アールス・フェボリット」は、袋井などの農家に伝わり、配合を重ねて現状の「クラウンメロン」に進化を果たしている。

 大隈重信は、「日本の食卓でメロンをスイカのように広く食べられるようにしたい」と思っていたようだ。やはり、「アールス・フェボリット」の配合から「ワセダ」という品種のメロンをつくったというのである。大隈重信とクラウンメロンの関わりは相当に深いものがあったということになる。

 袋井には、「葛城北の丸」という歴史ある古民家を移築した贅を極めたホテルがある。「葛城北の丸」は、2002年のFIFA日韓ワールドカップでは、トルシエ監督が率いる日本チームのベースキャンプホテルになった。  ヤマハリゾートが運営しているのだが、このような「和」をベースにした気品のあるホテルが日本にもあるのだな、とあらためて感銘を受けるのは間違いない。

 その「葛城北の丸」では、アジア最優秀パティシエのジャニス・ウォンが監修したクラウンメロンのスィーツが楽しめる。

 「葛城北の丸」を知って使っている顧客は、隣接する「葛城ゴルフ倶楽部」の顧客たちが多い。その関係でいまは男性客と女性客の比率は6:4としている。ヤマハリゾートとしては、女性客に「葛城北の丸」の贅を知ってもらって、ワインやスィーツなどを楽しんでほしいとしている。

■江戸期の袋井宿で朝飯に出された「たまごふわふわ」を復元

 袋井は、江戸期の旧東海道・袋井宿から現在にいたっている。東海道五三次の27番目の宿場町であり、江戸からも京都からもちょうど真ん中に位置する宿場である。法多山尊永寺、萬松山可睡齋、医王山油山寺など遠州三山といった由緒ある古刹の門前町としても栄えた歴史がある。

 安藤広重の浮世絵『東海道五三次』では、「袋井出茶屋ノ図」に描かれている。本陣3軒、旅籠50軒の規模だったといわれている。安藤広重の袋井宿の絵には、遠景に川がうっすらと描かれている。袋井という地名は、川に囲まれた地というのが由来だそうだ。袋井は、昔から川で採れる鰻、スッポンなどの料理が名物だったといわれている。

 江戸期の文献に、袋井宿本陣で朝飯の膳に「たまごふわふわ」が乗ったと記されている。『東海道中膝栗毛』でも「たまごふわふわ」を袋井宿の茶屋で食べたということが描かれているらしい。「たまごふわふわ」は、江戸期の袋井宿の名物というか、話題のフードだったことは間違いない。

 「たまごふわふわ」は朝飯の膳にしか乗らないから、宿泊しないと食べられない。袋井宿への宿泊を誘って、近隣のほかの宿場との“差別化マーケティング”を狙ったのかもしれない。

 B-1グランプリへの出店を契機に「たまごふわふわ」は復元され、いまでは袋井の人々の「ソウルフード」といわれている。  袋井市内の遠州料理・とりや茶屋などで「たまごふわふわ」を味わうことができる。和風だしの上にふわりとメレンゲ状に浮かんでいる。これは独特の袋井の味ということになる。

 とりや茶屋のご主人は、「江戸期の文献にはたまごふわふわのレシピは書かれておらず、形状もわからない。わかっているのは、たまごふわふわという料理名と朝食に出されたことだけ。おそらくこのような料理ではないか、と復元に頑張ってみた」、と説明してくれたものである。(文中敬称略)

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て現職。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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