NEC、顔が見えなくとも人物を照合する技術開発 五輪でも活躍するか

2019年2月8日 20:47

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カメラから見えない部分がある人物でも照合が可能(写真:NECの発表資料より)

カメラから見えない部分がある人物でも照合が可能(写真:NECの発表資料より)[写真拡大]

 NECは7日、カメラから顔や体の一部が見えない部分がある人物や後ろ向き・横向きの人物でも、全身の外観画像を用いて照合できる「人物照合技術」を開発したと発表した。

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 生体認証とは、人間の動きや個体特性から人物を特定する技術だ。代表的な生体認証には、犯罪捜査で馴染み深い指紋認証、黒目の内側にある瞳孔の周りのドーナッツ状の虹彩認証、iPhone Xで一般に知られるようになった顔認証、人体の静脈を用いる指静脈認証、歩き方の個性に基づく歩容認証、遠隔地にいても可能で電話などで活用される声紋認証、医療現場でのハンズフリー認証として有望な人間の耳穴の形状に着目した耳音響認証、などがある。

 生体認証のメリットは、パスワードの記憶やICカードなどの管理から解放されると共に偽造が困難である一方で、ディメリットとしては、生体的特長の秘匿性の課題や心理的な抵抗に加えて、認識性能向上やなりすまし対策を考慮すると高価なシステムとなることなどだ。

 生体認証は利用場面に応じて、認証の正確性、生体的特長の秘匿性、なりすましなどの脆弱性を考慮しながら、幾つかの認証技術を組み合わせていくのが理想であろう。

 NECは2018年8月7日、顔認証システムを、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで大会関係者の会場入場時における本人確認システムとして納入すると発表。2017年までは、米国国立標準技術研究所(NIST)の顔認証技術ベンチマークテストで4回連続の第1位評価を獲得した実力を持ち、その座の巻き返しも狙う。

 NISTは2018年11月30日、顔認証の精度は深層学習の導入によって劇的に進化していると発表。2014年の誤認識4%に対し、2018年は0.2%という。深層学習での人間の脳を模した畳み込みニューラルネットワークの構造が勝敗を決めるが、精度がここまで向上すると、顔認証を適用する場面(ベンチマークの内容)によって順位が大きく異なってくる。

●顔認証AIエンジン「NeoFace」で追加された特長

 全身の外観画像を用いて照合できる「人物照合技術」だ。映像解析と深層学習を用いることで、顔画像のみに頼らない高精度な照合を確立。

 カメラから見えない部分がある人物でも照合が可能で、認識率は9割を誇る。また、深層学習により、複数のカメラが捉えた複数の横向き・後ろ向きなどの顔の見えない人物を照合可能という。

 人や遮へい物が多い大規模施設内の警備支援や、顔認証技術との組み合わせによる迷子等の人物の捜索などのサービスを想定している。

 発表では触れていないが、東京オリンピック・パラリンピック大会関係者の会場入場時における本人確認システムにも有効な手段であり、活用されることを願う。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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