AKB指原莉乃の卒業は吉か凶か?

2019年1月2日 18:53

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 AKB48の総監督、横山由依が昨年のレコード大賞後にアップしたインスタグラムが素晴らしい。

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 レコード大賞を獲った乃木坂48への祝福のあと、率直にファンへの感謝と今後の決意、さらには大賞を獲れなかった悔しさを書き綴っている。

 元々、多少天然なところはあるが、生真面目で誠実な人柄で、初期メンバーや神セブンといった主力が次々に卒業していく中、必死でグループを牽引してきた人だけに、その言葉には重みがあり、また悔しさも、そしてその悔しさをバネにさらに前に進もうとする清々しい決意も心地よい。

 高橋みなみから受け継いだ、総監督の立場を、今年中に向井地美音に譲ることが決定しているが、その後もグループには残ることも告げられており、ファンとしては安心するとともに、より一層応援したいという気持ちを喚起されることだろう。

 しかしながら、AKBの現状は苦しい。

 CDこそ売り上げを伸ばしているものの、今年、紅白で歌われた曲は数年前のヒット曲『恋するフォーチュンクッキー』であり、ここ数年出した曲は、ほとんど浸透していない。ドラフトで合格し、ユニットデビューもした直後に辞めてしまうメンバーもいれば、オーディションに合格したのに辞退して、他のグループでデビューしてしまうメンバーもいて、コンテンツとしての魅力が、全盛期に比べると半減している。

 さらに、総選挙で首位を取り続け、AKBの象徴として、あるいは半スタッフのような形でグループを牽引してきた指原莉乃が卒業することもあり、正直、全国区で「知名度」があるのは、もはやSKEの松井珠理奈と、長老化している柏木由紀ぐらいのものになる。

 厳しいことを言うようだが、記者はここ数年の【指原ー横山体制】の時期は、初期メンバーの遺した遺産があってこその人気の維持にかろうじて成功した時期だと考えている。

 指原莉乃は有能だし、彼女の功績ははかりれない中興の祖だとは思うが、彼女の存在は『スパイス』であり『メインディッシュ』ではありえない。土台にグループとしての魅力があって初めて輝くものだと思う。

 その彼女がグループの象徴になり、「指原さんみたいになりたい」というメンバーが増えてしまうと、香辛料だけの料理となり、とても食えたものではなくなってしまう。

 今や、1、2期生の存在を知らないメンバーやファンが増えているなか、いつまでもスパイスだけが主張しているようでは、どれだけ新しいグループを作って、大勢のメンバーを揃えても先細りしていくのは目に見えている。

 そういう意味では、指原莉乃の卒業はAKBグループにとって致命傷になりかねないダメージであると同時に原点回帰へのチャンスになる可能性もある。幸い、今のAKBには横山や、岡田奈々、高橋朱里といった頑固で生真面目なメンバーがグループ内の管理職的立場にある。

 HKTにも渕上舞や成長著しい田中美久がいて、SKEには元祖頑固者で初期AKBの魂を受けついている松井珠理奈が復活し、STUにはAKB全体のエースになれそうな瀧野由美子という逸材もいる。

 今年、指原の卒業を奇貨として、もう一度危機感を募らせ、グループを引き締めれば、再び王道を進むチャンピオンとしてAKBGが復活する可能性は十分あると思う。

 新制AKBが本当のヒット曲を飛ばし、レコード大賞を獲れる日がくることを記者は信じている。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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