二大消費国の景気減速~原油価格はどこへ向かうの?もっと知りたい商品先物取引(高井ひろえ)

2018年12月25日 17:28

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記事提供元:フィスコ


*17:28JST 二大消費国の景気減速~原油価格はどこへ向かうの?もっと知りたい商品先物取引(高井ひろえ)
 

みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。
皆さんは車を運転されますか?運転される方はきっとお気づきでしょうが、最近、ガソリンスタンドではガソリンや軽油の表示価格が下がっています。ガソリンも灯油も原油(石油)を精製して作るエネルギー製品です。ガソリンスタンドの表示価格が下がっているのは、製造原料である原油の価格が下がったからなのです。ではなぜ原油価格が下がったのでしょうか。今回のコラムでは、価格急落を受けて各国はどう対応しているのか、そして今後原油価格はどうなっていくのかを考えてみましょう。

はじめに、原油価格下落の理由として考えられるポイントを列挙します。
(1) 米中貿易戦争、世界同時株安による原油消費の減速懸念
(2)トランプ大統領による原油価格の高値批判
(3)米国による対イラン石油制裁の一部緩和
(4)ロシア、OPECの原油生産量増大
(5)米国のシェールオイル生産の拡大
(6)世界の石油在庫増大
こうしたことから、原油供給が需要を上回る需給のアンバランスが生じたと考えるのが合理的です。それでは上記のポイントを踏まえ気なる点を考察します。

■OPEC総会で減産が決まっても減産しない理由
初めは、トランプ米大統領が「原油価格は高すぎる!」と主張していることについてです。その主張の背景には、米国は車社会だということがあります。“原油、ガソリン価格が下がる→有権者の生活コストが下がる→有権者の不満が1つ解消される”となるからです。そのため12月6日のOPEC(石油輸出国機構、産油国から構成される組織。米国やロシアなどは参加していません。)会議や7日のロシアなどのその他主要産油国とOPEC諸国が集まる総会の前にも、トランプ米大統領は「原油を増産しよう!」と提案していました。
しかし、OPECの総会などの結果は「穏やかな減産をしましょう」ということに。理由は、冒頭で述べたように原油価格は急落しており、価格を持ち直させようという意図があったからです。ただどの国も簡単に減産できるわけではありません。原油価格が下がっている状況で産油量を減らせば、国の収入は減ってしまいますよね。また総会で減産が決まったとはいえ、そこに参加していない米国はどんどん増産をしているので、原油価格が今後必ず上がるかどうかは分かりません。原油価格が上がるまで収入の減少を耐えきれるか不安ですよね。
そんな中、世界第3位の産油国であるロシアは減産決定に対し渋る姿勢を見せていたものの、今回の会議では減産で合意しました。ただ、この合意に対しても疑いをもたれており、下落基調が変わることはありませんでした。

■来年の原油価格は結局どうなるの?
各国や組織がバラバラな方向を向いているような状況ですが、来年の原油価格はどうなるのでしょうか。これに関して、今までの急落を受けて下落の流れは変わらないとの見方が多く語られています。
IEA(国際エネルギー機関)の原油レポートによると2018年は需要も伸びていますがそれ以上に供給が大きく跳ね上がっています。これが10月からの急落につながっていると言われていますが、気になる点がひとつあります。実態以上に需要の数値が大きく表示されているのではないかということです。
米国の経済成長率は来年に減速するとみられており(IMF 国別経済成長率見通し)、利上げペースを鈍化させる方針といわれています。また中国も米国による関税率引き上げなどを受け、経済成長は減速する見通しです。世界の二大消費国の景気にブレーキがかかる見込みの中、今後も需要が強いという見方ができるかは疑問です。減産へ向けて各国の足並みがなかなか揃わないことからも、来年も原油価格が下落する傾向は続きそうだというのが根拠です。

「OPEC総会で減産決定」といわれると、供給量の面から、減産→原油価格上昇と単純に考えてしまいそうですが、需要の変動や、減産決定自体が遵守されないという可能性も考える必要があるのですね。今回のコラムでは原油価格をいろんな視点から考えることを一緒に学びました。次回も商品先物価格を動かす要因に迫っていきます。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ《HT》

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