米大統領は人類最強か【フィスコ・コラム】

2018年12月9日 07:30

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記事提供元:フィスコ


*07:30JST 米大統領は人類最強か【フィスコ・コラム】
アメリカのジョージ・ブッシュ(父)元大統領の訃報に接し、要人の寿命について考えさせられます。歴代の大統領をみても90歳代まで生きるのは珍しくなく、世界最強国家の最高権力者は、やはり人並み外れたタフさを持ち合わせている証左かもしれません。


父ブッシュは先月30日に94歳で死去。12月5日は追悼記念日となり、国葬が行われました。下院議員から中央情報局(CIA)長官、その後レーガン政権時代には副大統領となったいわゆる政治エリートです。第41代大統領として1989年1月から1993年1月まで1期勤め、92年に民主党のビル・クリントンに敗れて引退。任期中は旧ソ連と冷戦を終わらせるなど、世界の激動期に超大国の指導者として君臨しました。


元大統領の死去した年齢を調べてみると、長寿の人が多いことに気づきます。何代か前に遡ってみても、フォードとレーガンはともに93歳で亡くなっています。父ブッシュ死去により存命する元大統領は、今年10月に94歳になったカーター、72歳のクリントン、ブッシュ(子)、57歳のオバマの4氏になりました。カーターは昨年、特使として訪朝の用意があると意欲を示し、健在ぶりをアピールしています。


アメリカ人男性の平均寿命は78.7歳ですから、歴代大統領の長命は際立っています。長寿の人の特徴として、体力はもちろんのこと、よく精神がタフだといわれます。大統領選の1年間にわたる選挙期間で全米各地を遊説し、繰り返し行われる討論会や演説で勝ち抜き、そして当選後は世界一強大な国家のリーダーとして日々の激務をこなすのですから、まさに超人的です。


在任中は側近が寝返らないように常に監視し、党内のパワーバランスに気を配っていないと野党との戦いを制することができず、政権が揺らいでしまいます。外交でも、世界の紛争地域に目を光らせ、現在なら中国に超大国の座を奪われないような警戒も怠ってはなりません。そして補選や中間選挙、さらには再選を賭けた次期大統領選・・・普通なら寿命はむしろ縮むのではないでしょうか。


しかし、大統領は任期を終えた後も特使として海外に派遣され、世界中を講演して回るなど、旺盛な体力や精神力の持ち主が多いことに間違いはありません。トランプ大統領の場合、その精力的な言動をみる限り、100歳までは余裕でいけそうです。敵が多いこともその原動力となるかもしれません。以前、あるハリウッド俳優が賞の授賞式のあいさつで「くたばれ」と罵っていましたが、それには時間がかかりそうです。


言うまでもなく、大統領経験者は引退後も収入面で恵まれているからこそ、十分な健康管理によって長生きできるのだと思われます。年金として年間最低40万ドル(約4500万円)や事務所運営費など諸経費が支給されるほか、講演料、本を書けば印税など、年間収入は数億円とみられます。ちなみに、大統領の年金を40万ドルとそれまでのほぼ2倍に引き上げたのは子ブッシュ。職務を通じて親孝行をしたようです。
(吉池 威)《SK》

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