超低高度衛星「つばめ」ミッション始動から約1年 その軌跡と可能性

2018年11月18日 10:09

小

中

大

印刷

14日の質問画像(ツイッター上)「つばめ」が8月22日に撮像した場所。ここどこだ?ヒントは 建築物を探してみてください!(C)JAXA

14日の質問画像(ツイッター上)「つばめ」が8月22日に撮像した場所。ここどこだ?ヒントは 建築物を探してみてください!(C)JAXA[写真拡大]

写真の拡大

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の公式ツイッター「@JAXA_jp」で、7月から毎月地球上のどこかの画像を「ここどこだ?」と、クイズ方式で掲載している。11月はすでに3枚の画像が載っており、2日は「ボストン」、8日は「オーストラリア ウルル」と答えが出ているが、14日の画像の答えはまだわかっていない。これらの画像は2017年12月23日、H-IIAロケット37号機による相乗り打上げされた、超低高度衛星技術試験機「つばめ」によるものである。

【こちらも】人工衛星を使って地球温暖化が明らかに JAXA

 地上100キロメートルの地点(カーマン・ライン)を超えると宇宙とされていているが、多くの地球観測衛星が周回する高度600~800キロメートルの軌道上でも、地上の1兆分の1程度の微量な大気が存在している。少しづつではあるが衛星は地上に落ち続けており、定期的にガスジェットを噴射して軌道を保っている。この燃料を使い切ると寿命となる。「つばめ」が飛行する180~300キロメートルという超低高度軌道では、600~800キロメートルの軌道に比べて約1000倍もの大気抵抗を受ける。

 従来の衛星システムでは燃料がすぐに枯渇してしまうため、「つばめ」は燃料の使用効率が良いイオンエンジンを採用している。また大気抵抗が少ない小型の衛星を開発したことで、超低高度でも長期間にわたって軌道を維持できる見込みだ。「つばめ」は地上に近い分、より地球を高い解像度で観測することができることから、既存のものよりも半分以下のサイズのセンサを使用しコスト低減を図った。質量は383キログラムで設計寿命は2年以上の予定である。

 超低高度域では「原子状酸素(AO)」と呼ばれる物質が多く、人工衛星によく用いられている金色の熱制御材(多層インシュレーション)等を損傷させてしまうという。「つばめ」では、AOに強いコーティングを施す対策を取っている。またAOモニタシステムが搭載されており、AOの濃度や各種材料の劣化具合を計測することになっている。

 15日に「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」が施行された。主な内容では人工衛星打ち上げの許可をその都度申請することや、人工衛星等の落下等により生ずる損害の賠償で、民間の保険会社では賄えない部分を政府が補償する制度などが設けられている。これらの法整備により、さらなる国内の民間企業の宇宙への進出が期待される。また、JAXAと民間企業の共同研究等が進むことも必要不可欠になってくるだろう。超低高度衛星「つばめ」の小型化や低コスト化などは、今後の宇宙開発につながるものと思われる。

 三菱電機がプライムメーカーとして、設計・製造を担当しており、協力して開発を進めている。

関連キーワード宇宙航空研究開発機構(JAXA)三菱電機

「宇宙技術・天体」の写真ニュース

IT・サイエンスの最新ニュース

RSS

もっと見る

主要ニュース

RSS

もっと見る

広告