第9の惑星の手がかりとなるか 準惑星ゴブリンの発見

2018年10月19日 09:13

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冥王星と比較して約2.5倍外側を公転する準惑星ゴブリンの軌道 (c) Roberto Molar Candanosa and Scott Sheppard, courtesy of Carnegie Institution for Science

冥王星と比較して約2.5倍外側を公転する準惑星ゴブリンの軌道 (c) Roberto Molar Candanosa and Scott Sheppard, courtesy of Carnegie Institution for Science[写真拡大]

 8つの惑星のほかに、5つの準惑星が太陽の周りを公転しているのは、ご存じだろうか。2015年に発見された「ゴブリン」と呼ばれる準惑星が、9番目の惑星の存在を示唆することが、米天文学者の研究グループによって発表された。

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■惑星から準惑星に格下げされた冥王星

 10数年前まで9個と定められた惑星のうち、冥王星が2006年に準惑星に格下げされた。2005年に冥王星より大きな直径の天体「2003UB313(エリス)」が冥王星の軌道周辺で発見され、惑星の条件を満たさなくなったためだ。

 冥王星のほかにも、ケレスなど合計5つの天体が準惑星として国際天文学連合(IAU)によって認定されている。2015年に発見された天体「2015TG387」もまた、準惑星の可能性があるとされる天体のひとつだ。公転するのに約4万年かかる氷の塊は、ハロウィンに近い時期に発見されたことから、「ゴブリン」とも呼ばれる。

■古くから研究され続けた未知の惑星の存在

 既に発見された8つの惑星のほかにも、未知の惑星が存在するという「惑星X」の仮説は、昔から論じられていた。米天文学者パーシヴァル・ローウェルが「惑星X」と呼ぶ仮想上の天体は、天王星の軌道が理論計算とは異なることを説明するための存在だ。海王星の外側を公転する「惑星X」はローウェルらによって探索されたが、結局発見されなかった。

 1989年に天王星に到達したボイジャー2号からのデータにより、その質量は0.5%ほど下方修正された。これにより、惑星Xを仮定しなくとも、天王星の軌道は理論計算と誤差の範囲内であることが明らかになった。ローウェルが思い描いた惑星Xの存在仮説は、消えてしまったに思えた。

■準惑星ゴブリンが未知の惑星を証明するか

 カーネギー研究所のスコット・シェパード博士は、天王星の外側を公転する「太陽系外縁天体」の研究者だ。木星や土星といった惑星を公転する小衛星を数多く発見した天文学者としても知られるシェパード博士は、太陽系外縁天体の奇妙な軌道が、それらに影響を与えるほどの大きな重力を持つ「惑星X」の存在を仮定することで説明できると主張する。準惑星であるゴブリンもまた、惑星Xの存在を示唆する太陽系外縁天体に該当する。

 ゴブリンは、米ハワイ島マウナケア山に位置するすばる展望台によって発見された。太陽と地球間の距離の約80倍(80天文単位)の場所で発見されたゴブリンは、冥王星と比較しても2.5倍も外側にある。ゴブリンは非常に細長い軌道を回り、近日点でさえ65天文単位であるため、木星や海王星などの巨大惑星からの重力の影響はほとんど受けない。

 シェパード博士らの研究グループは、惑星Xを仮定したモデルを提示、ゴブリンの軌道を説明可能であることを突き止めた。研究グループは、ゴブリンのような天体を探索し、惑星Xの存在を証明する証拠を探し続けるとしている。

 研究の詳細は、9月28日にプレプリントサーバーarXivに公開されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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