乃木坂22枚目シングル選抜発表で浮き彫りになった2期生問題

2018年10月1日 16:55

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 10月1日、テレビ東京の『乃木坂工事中』において、人気メンバー西野七瀬の最後の参加シングルとなる22枚目シングル(タイトル未定)の選抜発表が行われ、西野七瀬をセンターに21名の選抜メンバーが発表された。

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 新選抜には、3期生の伊藤理々杏と佐藤楓が入り、21名中6人が3期生(大園・与田・梅澤・山下)というフレッシュな陣容で、卒業に華を添えると同時に、世代交代を印象付ける内容となった。その一方で、2期生は、ほぼ聖域というか、常連化している堀未央奈と新内眞衣以外は選抜入りを逃してしまう結果となり、ファンの間で慨嘆の声が漏れている。

 ビジネスとして……という以上に、3期生が選抜入りになるのは、ある程度長く彼女たちを見ていれば理解はできるだろう。

 フレッシュであると同時に、個性的でもあり、また成長も早く、力量的にも申し分ないタレントであることは確かであり、かつての1期生のように、早いうちに一度選抜を経験させておきたいというローテーション選抜のようなシステムになっているのも当然といえば当然だ。

 だが、おそらくはこういう売り方を選択したのには、2期生の育成に関する失敗から運営が学んだものなのではないかと、あくまでも記者の主観ではあるが思う。それぐらい、乃木坂の2期生に関する育成は、いきあたりばったりの本人任せという印象が強いのである。

 結成2年目で募集が始まり、1期生からは当初ライバル視があったことはよく知られていることだし、2期生内でも、いきなりセンターに抜擢された堀未央奈とその他のメンバーの間で緊張感がたかまったこともあった。

 こうした内部の問題を抱える一方で、まだ当時は充分に一本立ちしていない1期生へのフォローもあり、2期生はどうしても自分で自分をプロデュース……少なくとも、存在感を高める努力を必要とされていたのである。そして、困ったことに(?)そんな彼女たちは、この状況を自力で乗り越えることに成功している、もしくはしかけている。

 将棋というきっかけで、単独CMもゲットした伊藤かりんは、歌唱力も屈指だし、世話好きでバランス感覚が抜群なため、メンバー内の潤滑油兼広報としてなくてはならない存在になったし、舞台での高評価で選抜未経験ながら、新しいファンを取り込んだ伊藤純奈は、先輩からの愛情と後輩からの尊敬を集める乃木坂の裏番長になりつつある(ちなみに伊藤純奈も歌唱力・ダンスセンスが光るメンバー)。

 ここに来て一気に人気が沸騰している鈴木絢音もトークの安定性に加え、発言のセンスのよさが目立っており、今回は選抜入り濃厚とされていたメンバーでもあった。

 クイズ番組で結果を残した個性派の山崎怜奈、独特のセンスとフォトジェニックなルックスを武器にアンダーセンター経験もある寺田蘭世、「美の暴力」とまで言われる美貌に、最近はトークの冴え(毒?)もときおり見せる佐々木琴子と、精神年齢最年長でありながら、童顔からときおり見せる色気も出てきた渡辺みり愛と、いつ選抜入りしてもおかしくない……というより、下手をすれば選抜以上に輝く存在感を身に着けてしまった世代という言い方もできる。

 とはいえ、乃木坂のメンバーである以上、目標は選抜入りなわけで、ここまでメンバーが固定化され、さらに2期を飛ばして3期が入ってしまうと、彼女たちの「アイドルとしてのキャリア」の限界を感じてしまうファンも増えていく。

 個性を磨かねば生きていけず、しかし、個性を磨くことで、一種のアクがつき、逆にグループとしてのバランスを崩しかねないというのであれば、こんな理不尽な話もないだろう。

 今後、運営が2期生や1期生の非選抜常連をどのように処遇していくのか?実は隠れた、しかし、乃木坂の将来のカギを握る問題になっていくと思う。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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