日本海深層は450万年前から太平洋と分離している、富山大などの研究

2018年10月1日 09:13

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U1425地点(黄色四角)で採取された海底堆積物試料のネオジム同位体比を分析した。(画像:富山大学発表資料より)

U1425地点(黄色四角)で採取された海底堆積物試料のネオジム同位体比を分析した。(画像:富山大学発表資料より)[写真拡大]

 ただ地図を見ただけでは分かりにくい事実であるが、日本海と太平洋は深層では繋がっていない。現在、日本海と太平洋の間はわずか水深130メートル程度の海峡でのみ繋がっており、深層水の連絡はなく、表層水のみが交換されている。そして、そのような状態が成立したのは約450万年ほどの昔である、という事実を、富山大学、名古屋大学、海洋研究開発機構、九州大学などの共同研究グループが突き止めた。

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 日本海の原型というべき「くぼみ(海盆)」が発生したのは2500万年ほど昔のことである。この頃日本列島の一部がユーラシア大陸から分裂し、今の日本海に相当する海盆が発生した。

 1000万年前、西日本は朝鮮半島と陸続きで、東日本となる部分はまだ海の底にあった。この頃の日本海は、深く底の部分まで太平洋と繋がっており、深層水同士の海水交換があった。

 しかしその後、東日本から北海道にかけての地域が徐々に隆起し、日本海は「半閉鎖的」な状態になっていく。その状態が今も続いているわけであるが、その日本海の閉鎖が、正確には何時頃、どのくらいの期間をかけて成立したのかは謎であった。

 そこで今回の研究では、2013年に採掘された日本海海底の、歯や骨の化石の、ネオジム同位体比の分析を行った。

 結果として判明したことには、約450万年前に、約14万年という(起こったことのスケールに比して言えば)短いタイムスパンにおいて、日本海と太平洋の最後の接続部分であった東北域の海峡が急激に縮小・浅海化し、日本海の閉鎖性が高まったのであるという。

 なお、その後も日本海とオホーツク海の連絡はあったが、これは海流の関係で一方通行的なものであり、オホーツク海からの流入というべきものであったらしい。これは260万年ほど昔まで続いている。

 なお、研究の詳細は、アメリカ地質学会の研究誌「Geology」オンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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