コールセンターの音声使い感情解析 従業員のストレス軽減にも セントリックと熊本大

2018年9月27日 07:11

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サービスサイエンスラボが入居するNSビル(画像: CENTRICの発表資料)

サービスサイエンスラボが入居するNSビル(画像: CENTRICの発表資料)[写真拡大]

 コールセンターのコンサルティング・運営を行っているセントリック(東京都豊島区)は、熊本大学大学院の有次正義教授らと音声データ解析による感情認識技術に関する研究を9月から開始した。同社では、研究によって顧客満足度の向上や従業員のストレス抑制が図られるほか、新しい販売促進のノウハウの開発につなげられるのではないかと期待している。

 セントリックは、2016年4月の熊本地震後、地元の雇用拡大を図るため、17年に熊本市と立地協定を結んで最新技術を用いた次世代コールセンター「サービスサイエンスラボ(感情解析テストセンター)」を開設した。同コールセンターは、音声解析技術を使って、言葉ではなく音声から話し手の感情を解析して、スコア化。オペレーターが顧客の感情の起伏を理解して対応することで、通販などでの解約率を大幅に減少させるなどの成果を上げてきた。

 今回は、これまで同社が蓄積してきた話し手の感情解析データをさらに深く分析するため、ビッグデータの解析研究を行っている熊本大学大学院先端科学研究部先端工学第4分野(ビッグデータ)の有次教授、眞鍋雄貴助教とともに共同研究を行うことになった。

 共同研究は来年3月までの半年間行われる予定で、顧客とオペレーターの会話を解析したデータを元に、話し手の感情の変化を分析。どの時点で顧客が意思決定を行ったのか、また、応対中のオペレーターがどのようなポイントでストレスを感じたのか、といった点を検証する。同社は、研究結果を元に顧客の満足度を向上させるノウハウの開発や従業員のストレスチェックの新しい方法の発見につなげたいとしている。

 研究について有次教授は「人の感情分析はこれからますます重要な研究分野となる。ビッグデータ解析の手法を用いて、顧客が意思決定した時点を探るほか、オペレーターがどうすればストレスを軽減し、離職率を低下させられるのかといった観点から研究を進めていきたい」としている。

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