ライザップグループの東証1部上場が遅れている背景

2018年9月15日 12:04

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 札幌証券取引所(札証)のアンビシャス市場に上場しているライザップグループが「東証1部への移行を希望する」と公にしたのは、8月28日になってのこと。だがその方向性はメディア等で既に伝えられていた。確かに翌日の北海道新聞に記されているように、28日には「時期」にまでは言及していない。が、東証第1部市場の上場基準に明るい向きは、「既に申請が出されていれば、同社の現状からして上場基準は満たされている」とする。つまり話は早々に進んでよいはず。だが「遅れている」というのが実感だと言外に匂わせた。

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 6月24日の株主総会でも株主から、「市場変更の時期」について質問が出た。いまや「時の人」と言っても過言ではない40歳の若きCEO:瀬戸健氏は「方向性は変わっていませんし、確実に前進はしているが、前回みなさまにお話ししたイメージからは遅れており、申し訳なく思っている。普通の会社ではないような成長のスピードをしているので、新しい事業領域、ゴルフ、イングリッシュ、M&Aを含めると審査の確認事項が増える。審査される側なので、直接コントロールしにくいところもある」と答えている。自身、想定外に時間がかかっていることを認めている。

 何故、遅れているのか。札証の事情を知ると頷けてくる。今年6月22日時点の札証の上場企業数は56社(単独上場15社)。時の企業:ライザップの出来高は4月で取引所全体の出来高の97%を超えている。5月でみるとライザップの売買代金は約200億円と、取引所全体の96%を超えている。もし同社が東証1部に鞍替えした時、札証の運営は成り立たなくなる公算が強い。東証側と瀬戸氏の間で両市場の併設上場を巡って遣り取りがなされ遅々としていることが容易に想像できる。

 東証1部・単独上場に「基準」さえ満たしていれば、「まかりならない」という決まりなどない。どうだろう瀬戸さん「併設上場」で折れるわけにはいかないだろうか。ライザップの前身:健康コーポレーションは主力商品「豆乳クッキ」の原料を、道内から仕入れていた。またアンビシャス市場はそもそも「急成長している企業に資金調達の場を提供する」という趣旨で設置されている。今日の巨大企業の原点の役割を果たしているともいえよう。

 ただ正直なところ「単独」でも「併営」でもライザップの東証1部上場は、札証解体の危機になりかねない。札証にはいまキリンホールディングス・武田薬品・新日鉄住金・三菱重工・キヤノン・三井物産・ニトリホールディングス等々、全国区企業が上場している。が、そうした一連の企業の株取引は東証で大方が行われているからである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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