日本のキャッシュレス化推進、官民の取り組み本格化で道筋が見えて来た!(上)

2018年7月6日 17:18

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 日本におけるキャッシュレス決済比率が低調なことについて、近年声高に語られている。キャッシュレス決済と言ってもその方法は多様である。

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 各種クレジットカードは一般的だが、加盟店に課せられる手数料にアレルギーを持つ小売業者が多いうえ、少額での使用に抵抗感を感じる向きも多い。銀行口座から即座に引き落とされるデビットカードは、カード所持率が低調で対応する店舗もまだ少ない。電子マネーは種類によっては企業間の流動性に難があり、複数枚を使い分ける必要がある。中国で普及著しいQRコード決済は、徐々に取り扱いが増えているものの、日本の低迷するキャッシュレス決済比率を短期で持ち上げる広がりも勢いも乏しい。

 キャッシュレス決済は企業間の取り組み姿勢にバラツキがあり、統一感がないことが普及の最大のネックだ。ゆうちょ銀行は「ゆうちょPay」を、19年2月に開始すると発表した。加盟店で買い物をする際に、アプリでQRコードを読み込んで決済する。QRコードの使い方でも、利用者が自分のスマホにQRコードを表示するのか、店舗側の端末などにQRコードを表示するかで、取り扱いは全く変わる。隣り合った店舗で取り扱いが違っていたらと、考えただけでストレスになりそうだ。

 小売業界の対応は様々だ。高島屋は大型店のレジを順次刷新し、スマホ決済サービスや非接触型のクレジットカード決済に対応、インバウンド消費の促進を期す。松屋は4月に銀座店で中国銀聯の非接触型IC決済サービス、「QuickPass(クイックパス)」を導入した。セブン&アイ・ホールディングスは19年度末までにスマホによるモバイル決済を開始する。ユニー・ファミリーマートホールディングスは、年内にも独自の電子マネーの開発など、新たな決済の仕組みを整備する。ローソンは全店で非接触型のクレジットカード決済を可能にする。イオンは20年までに、ビザ・ワールドワイド・ジャパンと約1万6,000店で非接触型決済を導入する。ジェーシービー(JCB)はQRコードや既存のバーコードに対応する規格をもとに、決済データ処理のセンターを構築中である。

 福岡市は民間企業の実証実験支援事業で、公共施設での支払いを「LINEペイ」でキャッシュレス化するサービスを6月12日に採択し、11月末までには実施する予定だ。

 20年に迫る東京五輪に向け、海外では主流となっているキャッシュレスへの対応は、待ったなしの各社共通の課題だ。大半が現金でなされている年間100兆円規模とも言われる少額決済がキャッシュレスに変われば、店舗運営にかかる大きな負担軽減にもつながる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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