北海道芦別市で中型のティラノサウルスと見られる骨化石を発見、北大の発表

2018年6月25日 07:55

印刷

発見された恐竜の尾椎骨化石(右側面観)。スケールは5cm。(画像:北海道大学発表資料より)

発見された恐竜の尾椎骨化石(右側面観)。スケールは5cm。(画像:北海道大学発表資料より)[写真拡大]

 北海道芦別市は北海道の中央部に位置する市である。蝦夷層群羽幌川層と呼ばれる砂岩層の、白亜紀後期コニアシアンの地層(8630~8980万年前)において、2016年にアマチュア化石愛好家の小川英敏氏が脊椎骨の椎体(椎骨のうち、円柱形をしている部分)を1個発見したのだが、これを北海道大学と三笠市立博物館が分析したところ、恐竜類獣脚類の尾椎骨の椎体であると同定された。恐らくは、体長6メートルほどのティラノサウルス類のものである可能性が高いという。

【こちらも】恐竜はどうやって卵を温めていたか 北海道大学などの研究

 ティラノサウルスと言えば恐竜の中でももっとも有名な種類のもので、一般的なイメージとしては大型の肉食恐竜だったと認識している人が多いかと思われる。ただし、そのようなティラノサウルスの姿を取るようになるのは紀元前6,850~6,550万年前、中生代白亜紀のことで、この300万年間、かれらTyrannosaurus rexは地上の王者、生態系の頂点として君臨していたと言われる。

 それ以前のティラノサウルスはどういう生き物だったかというと、先祖まで遡ると小型の恐竜であったらしい。小型の祖先から大型のティラノサウルスになるまでには進化の過程として中型であった時期もあると考えるのが自然であるのだが、どうしたものかその時期の化石は世界的にもほとんど見つかっておらず、研究上の空白となっていた。今回発見された化石はおそらくその時期のもの、つまり中型のサイズだった頃のティラノサウルスの祖先ではないかと考えられ、貴重な発見であるという。

 ちなみに、日本でティラノサウルスの化石が見つかったのはこれまで4例あるが、北海道での発見は初であり、またコニアシアン海成層のものに絞ると2例目となる。

 なお、研究の成果は、6月23日、日本古生物学会2018年年会(東北大学)にて発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事