何故赤道に近づくほど生物種は増える?アリから謎を解く、沖縄科学技術大

2018年6月3日 21:51

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温帯地域ヤマアリ属の二匹の巣仲間が食べ物を共有。 ほとんどのアリ種は熱帯地域に住んでおり、その理由の解明が困難となっている。(画像:沖縄科学技術大学院大学発表資料より)

温帯地域ヤマアリ属の二匹の巣仲間が食べ物を共有。 ほとんどのアリ種は熱帯地域に住んでおり、その理由の解明が困難となっている。(画像:沖縄科学技術大学院大学発表資料より)[写真拡大]

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 生物学の世界に数世紀に渡って投げかけられている大きな謎がある。「何故、赤道に近づくほど、つまり熱帯気候であるほどに生物種は多様になり、南北の極に近づくほど多様性は減少していくのか」という問題だ。今回、沖縄科学技術大学院大学のエヴァン・エコノモ准教授率いる研究チームは、アリの種分布やDNAに関する分析からその謎に挑んだ。

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 何故赤道近辺ほど生物種の多様性が高いのかについては、確証はないが、仮説はいくつかある。ベーシックな考え方としてはやはり、気候の差に着目する。太陽量や熱量が生物多様性の維持に必要であるという仮説、あるいは大量の日射が突然変異の発生を促進するという説などもある。

 また、直近の氷河期が終わってからの時間経過の問題で、赤道から離れれば離れるほど、生物多様性の獲得に必要なだけの「十分な期間」が過ぎていないためにこのような分布が起こるのだ、とする考えもある。

 さて、今回の研究では、アリが注目された。アリはほぼ全地球的に分布していながら、互いに近縁な生物群であるという特徴がある。しかも生態学的に優占的な地位を占めており、種々の事情から比較的、研究の対象ともしやすい。

 研究グループは、世界に分布する現在知られている1万4,912種全てのアリを分類した。この作業だけで数年の期間が費やされ、9,000を超える論文、データベースなどが渉猟された。

 そしてそれらすべてのアリの系統解析を行い、系統樹推定のための計算モデルなども構築した。

 さらには、化石で発見されたり、琥珀や岩石の中に閉じ込められていた絶滅種のアリ500種も研究の対象とされた。

 すべてのアリの発生緯度を分析したところ、アリの新種は別に赤道付近で集中して発生しているわけではなかった。つまり、赤道付近以外のエリアでも、十分な時間が経過すれば、生物多様性は高くなっていくと予測されるのである。

 以上の研究の詳細は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌に掲載されている。(藤沢文太)

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