UACJの役員人事に端を発した騒動は、どんな経緯をたどって決着するのか?

2018年3月8日 21:57

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 UACJは、2003年に古河電気工業が軽金属カンパニーを分割し後に古河スカイに商号変更した旧古河グループの中核事業と、住友グループの住友軽金属工業の経営統合により、2013年10月1日に発足した。国内最大手が2位との統合を果たし、世界3位に浮上。合併・統合企業の大きな課題は、職員が出身企業のしがらみを乗り越えて、融合することであると言われるが、それが一番難しいのが経営トップであろうか。住友軽金属工業の社長だった山内重徳氏が会長に、古河スカイの社長だった岡田満氏が社長に就任し、2頭体制がスタートした。

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 2月27日に公表されたUACJ初のトップ人事案では山内会長留任、岡田社長が副会長、旧住友軽金属工業出身の石原美幸取締役兼常務執行役員が新社長に昇格し、3名が代表権を持つ3頭体制となった。同日に行われた記者会見の席上、岡田社長は「当面は社長を中心に執行する」と表明したが、3名の役割分担を明言することは避けた。

 UACJの筆頭株主(24.9%)である古河電気工業はこの人事案に異議を申し立て、人事案に変更がなければ、6月21日に開催される株主総会で反対する考えを表明した。第2位の株主(7.75%)である新日鉄住金さえも古河電工に同調する気配がある。積極的に議決権を行使しない株主の動向次第では、古河電工側が過半数の賛成を得て取締役解任が承認される事態も想定されている。

 古河電工は「合併5年を経過し、石原氏の社長就任に異論はない」としたうえで、「コーポレートガバナンスの観点で、山内氏と岡田氏は取締役を退任すべき」とし、役員人事の再考を求めている。

 注目すべきは、古河電工が退任を求めている山内氏と岡田氏はそれぞれ旧住軽金と旧古河スカイの出身で、就任に異論はないとしている石原氏は旧住軽金出身であることだ。単純に古河系の勢力の維持拡大に拘ったとも読み取りにくい。代表取締役が3人もいては、誰がリーダーだか分からない。3名の役割分担すら明確ではないではないかということだ。

 古河電工が出している監査役を排除する気配を察知して、代わりに社外取締役の選任を提案していたという。それにもかかわらず、今回の人事案には該当監査役や社外取締役の名前が漏れていた。大株主である古河電工の意向が全く無視されたことで、態度を硬化させた。

 神戸製鋼と三菱マテリアルの子会社でデータの改ざん騒ぎを起こしたばかりのアルミ圧延メーカーは、最大手のUACJが役員人事に係わる新たな話題を提供して、再度世間の注目を集めている。株主総会までにどんな動きがあるのか、株主総会でどんな決着があるのか、暫くは目を離せない状況が続きそうだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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