テスラは生き残れるのか?トヨタが別れたわけは「行燈(あんどん)」

2017年12月18日 06:37

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 シリコンバレー出身のテスラ・モータースだが、いまだに赤字が続いている。四半期で1,000億円以上の赤字を出しており、約400万円ほどのモデル3がよほど売れない限り、存続が難しいともいわれている。IT産業全体の問題としては、「机上論」が先走りし過ぎており、実際の製造業に至るには、製造・生産・組織運用技術など現実に造る技術がいる。そのことになぜか気付かない不思議がある。「机上論」になるのは金融関係の人々も同じだ。実際の「ビジネスモデル」に気付いていないのかと思わせるしぐさもある。

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 ロイターの旧・現テスラ従業員9人に対する取材によると、テスラの完成車の9割以上が、ラインオフ後に修正が必要となっている模様だ。テスラによれば「より厳格な検査が実施されているため、些細な欠陥でも修正しているのだ」と言っている。

 しかし、自動車メーカーの歴史を見ると、この完成後の不良が多い場合は企業の存続が難しくなってくる。トヨタなどの既存の大手メーカーの完成後の修正は、逆に全車両の1割未満となっている。EVはバッテリーの原価が高いことなどが根本的にあることから、大衆車の販売では黒字化は難しいとの見方が広がっている。

■トヨタの暗号「行燈(あんどん)」

 トヨタにおいて、「カンバン方式」と言われた生産方式が60年ほど前に始まったころ、「あんどん」と言う社内暗号で呼ばれる設備があった。「カンバン方式」「あんどん」など社内暗号で呼ばれていたのは、競合他社に「トヨタ生産方式」を知られたくなかったためだ。

 「あんどん」とは生産ライン上に設けられたランプで、不良が発生すると作業員はそのランプを点灯し、全ラインを止めてしまうのである。不良品が出てもその場で修正できるものもあるが、それでは繰り返し不良が出ることになるので、「原因と対策」が完了するまで全ラインを停止する。つまり、その場を凌いで多少の損害で済ませても、もし再発すると損害は膨大になると自覚しているのである。

 自動車業界では、完成後の不良修正のために倒産した経験もあり、「再発防止」がいかに大切かを示すものでもある。

 現在のテスラでは、その完成後修正が当たり前となっているようだが、これはコストがかさむ一番の原因であろう。完成後修正は、修正作業そのものは「数分のこと」と言えるのだが、不良品を修正するまで保管しておかねばならず、その在庫の先入先出、在庫中の製品を痛めないなど、保管場所、移動などの管理手間が激しく大きく、場所の確保も容易なことではない。そのため修正費用が実際には新車価格よりも大きくなるなどの懸念がある。

 「資金量」としては「トヨタ方式」の狙いと逆さまで、最もやってはいけないことなのだ。早急に製造・生産技術のプロによる「カイゼン」が必要であろう。それにはQCサークルなど、内部従業員の自発的な活動を促さねばならず、現状のイーロン・マスクCEOの組織運用が真逆のようだ。これを訂正することは大変困難であると考えられる。

■自動車は現実に造るので、ソフトだけでは成り立たない

 イーロン・マスクCEOが、どれほど金融などで稼いでも、湯水のように資金は消えてゆく。伝えられたことが事実であれば、テスラは自動車産業としては「ムダ」の最も大きい企業と言わざるを得まい。これがトヨタが提携を解消した最も大きな理由であろう。「トヨタ生産方式」が「総資金量」を局限する方式であることを理解していなければならない。

 テスラ製品の商品価値は見事なものだが、自動車産業、いや製造業全体で、「商品価値」だけでは売り上げに貢献しても、コストを押さえられない。自動車産業としては「生産技術、品質管理」が勝負となることを知るべきだ。また「金融関係者」は、どうしても「資金運用のバーチャル」な世界だけで物事を考えてしまうようだ。自動車など生活に関わるのは「物」そのものであり、「現実に造らねばならない」ことを、金融・ソフトウエアの専門家たちは欠落させてしまっている。その実現には「製造・生産技術が必要で、価値が高い」のだが、株主・経営者が価値を認めず、金を握った者の強みで推し進めている。これは現代社会の「格差」を生む大きな要因の一つとなっている。資金運用技術と製造技術に大きな価値の格差をもたらし、労働組合の力も落ちている現在、「資金を握った者の天下」となっている。これは偏見であり、「労働を公平に評価していない」ことになる。1%の人間が50%の資産を保有するなど、「社会が極端に歪んでしまっている」ことを理解しておくことだ。

 早急にテスラの経営方針の見直しが起きることをEVファンとしても望みたい。(kenzoogata)

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