関連記事
- ホーム
- > 企業・産業
- > メディア・新聞・出版・放送
- > 記事
(c) 123rf[写真拡大]
6日、NHKが受信契約に応じない相手に起こした裁判で、最高裁は「受信契約を結び、受信料を支払うのは法的義務」という判決を下した。一読すると非常に明快な判決であるが、実際にはモヤモヤが晴れた判決とは言えない。
【こちらも】最高裁、テレビ受信装置設置者へのNHK受信契約義務付けは合憲
何故なら最高裁は判決の中で受信契約について、「NHKから受信設備設置者(以下敢えて「視聴者」と表記する)への一方的な申し込みによって受信料の支払い義務は発生せず」として、NHKが契約を求めただけでは契約が成立しないこと、契約は双方の合意によって成立することを改めて確認した。本件裁判では受信契約に応じない東京都内の男性が相手なのであるから、NHKが承諾の意思表示を命ずる判決を求め、判決の確定によって受信契約が成立するとしている。平たく言うと“契約に応じない視聴者を被告とする裁判を起こし、確定判決を獲得した時点で受信契約が成立する”と言うことだ。契約に応じない個々の視聴者を被告にして訴訟を提起して、勝訴しなければならない。
NHKがまとめた平成28年度末の実績(放送受信契約数統計要覧)は、受信契約対象世帯数4621万件に対して、世帯契約数は3709万件で、世帯契約率は80%となっている。
その差の実に912万世帯に対して訴訟を起こさなければ、受信料問題はNHKが納得する形では解決しないことになる。単身世帯やオートロックを備えたマンションが増えた現代では、職員が家庭を訪問して受信契約を求めること自体が難しくなっている。個々の視聴者が何時転居したかを把握するだけでも、大変な労力を要する。
この判決を支払い義務を認めた合憲判断ととらえて、社会にPRすることで世帯支払い数が若干増加するとの見方もあるが、若干では問題の解決にはならない。
おまけに現代ではテレビの視聴形態が大きく様変わりしている。住宅の各室にTV受信機があったり、パソコン・タブレット・スマホの広がりを考えると、世帯単位で考えることがいかにナンセンスであるかが分かる。
NHKは勝訴と捉えたいところであろうが、実現性を考えるとモヤモヤはかえって深くなったような気がする。NHK発足当時とは周囲の環境があまりに変わり過ぎた。公共放送としての在り方や、受信料の負担がどうあるべきかを、見える形で検討すべき時代になっているのだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
スポンサードリンク
- 毎日新聞社、資本金を41億5000万円から1億円へ減資し“中小企業”に 1/20 18:19
- 総務省、NHK受信料下げの新制度案 2月に法令改正へ 1/19 16:58
- 下方修正:鎌倉新書の株価反発の読み方 1/ 3 08:08
- ダイヤモンド社、「地球の歩き方」を学研に事業譲渡 11/25 09:05
- 米MGMの財政が逼迫、007公開延期で 11/10 15:50
広告
広告
広告