「&HAND」の実証実験が東京メトロで開始 妊婦と席を譲る人をマッチング

2017年12月12日 23:31

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(画像: 「アンドハンド」プロジェクトチーム)

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 大日本印刷(DNP)、東京メトロ、LINEの3社は、東京メトロ銀座線の最後尾車両内で、席に座りたい妊婦と席をゆずってもよいという意志のある周囲の乗客をつなぐサービス「&HAND(アンドハンド)」の実証実験を実施している。

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 実証実験期間は12月11日から15日までの5日間。実験場所は東京メトロ銀座線の最後尾車両内で、1日8本の電車の最後尾車両が対象となる。

 実証実験の中身はこうだ。まず、この実験の趣旨に賛同した乗客に対し、&HANDのLINEアカウントで友だち登録を促し、サポーターとして登録してもらう。次に妊婦が&HANDのLINEアカウント宛に「座りたい」という意思表示を送ると、実験車両に乗車した、サポーター登録済みの乗客のLINEに、近くに妊婦がいるというメッセージが届く。乗客が座っている場所を入力すると、位置情報が送信され、妊婦に座席を譲ることができるという仕組みだ。

 &HANDは、メッセージアプリ「LINE」などを活用して、身体・精神的な不安や困難を抱えた人と、手助けをしたい人を引き合わせ、具体的な行動を後押しするマッチングサービス。

 特に妊婦に対する手助けアプリは、主催者の妻の実体験からうまれたもので、電車で長時間立っているのがつらい妊婦と手助けしたい乗客とをマッチングするサービス『スマート・マタニティマーク』を考案。現在の&HANDプロトタイプを開発したことがきっかけだったが、この段階でGoogle「Android Experiments OBJECT」グランプリを受賞している。

 さらにLINEが3月に開催したチャットボットのアワード「LINE BOT AWARDS」においてもグランプリを獲得。

 そもそもこの&HANDのプロジェクトは大手企業などで働く有志のメンバーたちが立ち上げたもの。構想が実現しつつある実証実験には大きな意味がある。

 今回の実証実験では、乗車中、スマホを見ていて妊婦の存在に気づかぬまま席に着いている乗客に対してメッセージを送信し、立っているのがつらい妊婦と、席をゆずりたいと考える乗客をマッチングさせるだけでなく、&HANDを運用することで、サポーター登録した乗客以外の行動に変化を与えることも期待されている。

 今後は、5日間の実証実験で得られたデータを検証し、実用化に向けた改良をさらに進める方針。さらに妊婦に限らず駅構内外で別の困りごとを持つ生活者の課題解決に向けても、&HANDの活動を展開する予定だという。

 また、DNP、東京メトロ、LINEの3社は、高齢者などに対象を広げて実験を行ったうえで、本格的な実用化を目指すとしている。(記事:M_imai・記事一覧を見る

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