吊ら男:長期投資のはじめ時は「常に今」【FISCOソーシャルレポーター】

2017年12月1日 09:31

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記事提供元:フィスコ


*09:31JST 吊ら男:長期投資のはじめ時は「常に今」【FISCOソーシャルレポーター】
以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家吊ら男氏(ブログ「吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2017年11月29日23時に執筆

私は世界中の株式に投資して長期保有するという「長期分散投資」を推奨しています。また,世間一般でも「iDeCo (個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」という制度が誕生しており,世界中の株式や債券に分散して長期保有するとよいといった長期分散投資が投資の王道の1つであるという話もあちこちで出てくるようになりました。

そういった背景もあり,20代や30代の人でも「株の短期売買で大儲け」「FXで一攫千金」という話ではなく,若いうちから老後資金までといった,30年や40年といい長期間を見据えた長期投資の話に興味を持たれる方が少しずつですが増えている印象があります。

そうなってくると聞かれるのが,「今は株価がかなり上がってきていますが,今から始めてもいいですか?もう少し待ったほうがいいですか?」「いつが投資の始め時ですか?」といった質問です。

非常に気持ちは理解できる質問です。最初の質問では「株価は上がったり下がったりするもの。株価が高くなっているからこの先大きく下落しそう。それを待ったほうがいいのかな?」という心理が裏にあります。投資では「安く買って高く売る」が儲ける秘訣であり,割高な内に書いたくないという気持ち,分かります。

しかし,長期分散投資においてこの質問は愚問でしょう。

仮に30年投資するとして,投資の開始時期が割安か割高かというのは,最終的な結果に対してあまり関係ない話なんです。相場には好調もあれば不調もあります。ずっと右肩上がりで値上がりすることもありませんし,逆にずっと値下がりし続けることもありません。

そうすると,30年といった長期投資の場合,ほぼ確実に儲かる相場を経験することもあれば,損する相場を経験することもあるのです。仮に幸運にも割安な時から始められたとしても数年後には下落相場がやってきます。長期投資を選んだ以上,遅かれ早かれ下落相場にはぶつかってしまうのです。

しかも、現役世代の資産形成としての投資ともなれば,日々の稼ぎから資金を投じて行くことが多く,長期投資の最初の数年の元本というのは微々たるものです。

毎月5万円を30年間投資したら,元本は1800万円になります。これは大した金額です。しかし,最初の3年だけで見れば元本は180万円です。決して小さな金額ではありませんが,1800万円という総額から見れば大きくない数字です。この3年で資金が半分になってしまったとしても90万円の損です。30年間で積み上げる1800万円の総投資元本から考えると1800万円が1710万円になった程度です。

ほとんど気にすることはない金額なんです。

「長期投資では上げ相場も下げ相場も経験する。遅いか早いかの違いだけ。」「投資開始時期の損失額は大したことはない。」という2つを考えると,相場によって投資の始め時を悩む意味はありません。実は「常に始め時」ということを知ってもらいたいと思います。

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執筆者名:吊ら男
ブログ名:吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)《WA》

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