ウコンの主成分クルクミンの水溶性薬剤開発、抗がん剤に利用可能か

2017年9月4日 06:35

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クルクミンはウコンの主成分である。

クルクミンはウコンの主成分である。[写真拡大]

 京都大学とセラバイオファーマ社による共同研究グループは、ウコンに含まれるクルクミンの生体内代謝物に着目し、安全性が高く吸収されやすい水溶性プロドラッグ型クルクミン(CMG)を開発した。顕著な抗がん活性を持つといい、抗がん剤としての実用化が期待できる。

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 クルクミンはウコンに含まれるポリフェノール化合物である。さまざまな生理的作用があるとされ、がん、心臓病、アルツハイマーなどの治療に向けた研究が進められているが、固体粉末を摂取してもヒトの消化器官ではほとんど吸収できない、という難点があった。

 そこで、クルクミンの誘導体の開発、あるいはドラッグデリバリーシステムの開発などが進められているのだが、依然として、クルクミンを薬剤として有効利用する手法は確立されていなかった。

 今回の研究では、メタボローム解析によるクルクミンの生体内代謝物解析の結果などをもとに、クルクミンモノグルクロニド(CMG)がクルクミンのプロドラッグ(生体内で代謝され、活性代謝物となる薬剤)として利用できることが発見された。

 化学合成によって作り出したこのクルクミンモノグルクロニドをラットに静脈注射したところ、クルクミン粉末の経口投与とは比較にならないレベルで、クルクミンの血中濃度が高い値を示すことが確認されたという。

 またヒト結腸腺癌細胞を移植したマウスによって、CMGが体重減少や肝障害などの副作用を伴うことなく、顕著な抗がん作用を示すことも明らかになった。従って、CMGは、安全性の高い抗がん剤などとして実用化することが期待できるというわけだ。

 なお、研究の詳細は、日本薬学会誌「Biological and Pharmaceutical Bulletin」にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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