NYの視点:米8月雇用統計:労働市場の強さ確認へ、賃金動向焦点も

2017年8月31日 07:37

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記事提供元:フィスコ

*07:37JST NYの視点:米8月雇用統計:労働市場の強さ確認へ、賃金動向焦点も
米国労働省が発表する最新8月の雇用統計は、引き続き順調な労働市場の改善を確認すると見られている。連邦公開市場委員会(FOMC)Cの責務目標である「最大雇用」に達成したか、または、一段と近づいた証拠になると見られている。

米国の民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の8月分は前月比+23.7万人となった。伸びは予想外の2か月連続での20万人台。また、3月来で最大となった。同指数は米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強い先行指標として注目される。

また最新8月の消費者信頼感指数でも、消費者の労働市場や賃金への楽観的な見方が明らかになっている。指数で現況の雇用が「十分」と答えたのは35.4と、前月33.2、前年同月26.8から上昇。雇用を得るのが「困難」との答えは17.3と、前月18.7、前年同月22.8から低下。「十分」と、「困難」との差は18.1に広がり、2001年7月以来で最大となった。労働市場への自信が確認された形。また、6ヶ月間に所得が増加すると見ているのは20.9と、前月20、前年同月18.5から上昇している。減少予想は7.8と、前月9.5、前年同月11.0から低下しており、賃金が上昇する兆候ともとらえられる。

地政学的リスクの上昇、トランプ政権の混乱にもかかわらず、労働市場の強さが消費マインドを引き続き強め、成長を支援している。8月の雇用統計が労働市場の拡大を確認すると、消費の一段の拡大につながり成長を牽引すると見る。また、強い雇用が遅行指標として知られる賃金の伸びを今後、加速させる可能性もある。やがて、インフレの上昇にもつながり、年内あと一回の追加利上げも正当化される可能性がある。

■8月雇用統計の先行指標

・ADP雇用統計:前月比+23.7万人(予想:+18.5万人、7月:+20.1万人←+17.8万人)

・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):6.2(7月3.9、6か月平均8.7)
週平均就業時間:10.9(0、6か月平均8.5)

6か月先
雇用:9.3(11.8、6か月平均14.1)
週平均就業時間:-3.1(-4.7、6か月平均3.5)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):+10.1(7月+10.9、6ヶ月平均+15.3)
週平均就業時間:+18.8(+3.8、6か月平均+17.0)
6か月先
雇用:33.1(7月27.0、6か月平均32.6)
週平均就業時間:15.3(4.3、6か月平均11.0)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):17(7月10)
週平均就業時間:10(9)
賃金::18(17)

6か月先
雇用:30(7月33)
週平均就業時間:16(19)
賃金::35(40)

・消費者信頼感指数

雇用(現状)
十分:35.4(前月33.2、前年同月26.8)
不十分:47.3(前月48.1、前年同月50.4)
困難:17.3(前月18.7、前年同月22.8)

雇用(6か月先予想)
増加:17.1(18.5、前年同月14.4)
減少:13.0(13.2、17.5)
不変:69.9(68.3、68.1)

所得(6か月先予想)
増加:20.9(前月20、前年同月18.5)
減少:7.8(9.5、11.0)
不変:71.3(70.5、70.5)

・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数
08/19/17| 234,000| 2,000| 237,750 | n/a
08/12/17| 232,000| -12,000| 240,500 | 1,954,000
08/05/17| 244,000| 3,000| 241,000 | 1,954,000
07/29/17| 241,000| -4,000| 242,000 | 1,956,000
07/22/17| 245,000| 11,000| 244,250 | 1,967,000
07/15/17| 234,000| -14,000| 244,000 | 1,965,000
07/08/17| 248,000| -2,000| 246,000 | 1,977,000
07/01/17| 250,000| 6,000| 243,500 | 1,949,000

■市場予想
失業率:4.3%(7月4.3%)
非農業部門雇用者数:前月比+18万人(7月+20.9万人)
民間部門雇用者数:前月比+17万人(7月+20.5万人)
平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+2.6%(7月+0.3%、+2.5%)《CS》

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