巨大企業パナソニック、4社体制で成長戦略を強化

2017年8月4日 17:55

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 パナソニックは7月31日、2018年3月期第1四半期(4-6月)の決算を発表した。今期経営方針の「増収増益の実現」で、売上高7兆8千億円、営業利益3,350億円に向けて順調な滑り出しとなっている。

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 さらに来期(2019年3月期)は、創業100周年の節目の年であり、「増収増益の定着」に向けて営業利益4,500億円(今期見通し比134%)、純利益2,500億円(同156%)の野心的な経営目標を掲げている。

 パナソニックは連結従業員25万7千人、売上高7兆3千億円(2017年3月現在)の巨大企業であり、事業計画は事業・商品構成と地域が全く異なるカンパニー別に推進する体制となっている。4つのカンパニーごとに今期の推進状況を検討してみよう。

■アプライアンス社(家電など)

 売上高2兆7,500億円(前年比102%)、営業利益1,120億円(同112%)を計画。

 1.高成長事業: エアコン、業務用の冷凍・冷蔵ショーケースなど食品流通事業、食洗器、美容・調理家電などのスモールビルトインに重点投資を行う。

 2.安定成長事業: 冷蔵庫、洗濯機、温水洗浄便座など主要家電をメジャーとして、日本・中国に続きインド・アジア・欧州で競争力を強化し、現地開発体制を強化する。

 3.収益改善事業: AVC事業は、有機LED、5K対応テレビの開発と製造のグローバル最適化などでリスクを最小化し、黒字の定着を目指す。

■エコソリューションズ社(住宅・太陽電池など)

 売上高1兆6,260億円(同105%)、営業利益720億円(同112%)を計画。

 1.住宅関連事業: パナホーム(業界7位)、パナソニックリフォーム(同8位)がさらに業界上位を目指す。

 2.部材事業: 照明、分電盤などの電設資材と内装ドア、床材などの住設資材は、高占有商品の高付加価値化を計り、水回り商品についてはシェアアップを目指す。

■コネクティッドソリューションズ社(システム産業機械など)

 売上高1兆1,1030億円(同105%)、営業利益690億円(同137%)を計画。

 1.技術のつながり: 画像・無線・光学・音声などの技術を組み合わせて付加価値を生む。ETC、オリンピックの空間演出、店舗業務の自動化など。

 2.顧客接点の最大化~B2Bの拡大に向けて10月を目途に本社機能、技術・営業機能などを大阪から東京汐留へ移転する。

■オートモーティブ&インダストリアルソリューションズ社(車載・電子部品部門など)

 売上高2兆6,600億円(同110%)、営業利益930億円(同100%)と車載事業の基盤づくりのため、大規模先行投資をしており、来期に営業利益1,600億円(同172%)の大幅増益を見込む。

 車の情報化、自動運転、電子化に対応した機器の開発販売と車載電池の商品力・生産力の強化を進める。

 今後巨大企業で異なった事業のシナジーをいかに高めるか見守っていきたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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