シンガポールの第2四半期における安定的な経済成長。シンガポールドルの行方は

2017年7月21日 08:10

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記事提供元:フィスコ


*08:10JST シンガポールの第2四半期における安定的な経済成長。シンガポールドルの行方は
シンガポールにおける実質GDP成長率は、第1四半期からのペースを上回り第2四半期に2.5%となった。世界貿易が回復の芽生えは、シンガポール経済の成長を徐々に強めている。

■世界貿易における回復の芽生えはシンガポールの成長を助ける

WellsFargoResearchTeam
7月14日に発表されたデータによれば、シンガポールの経済は第2四半期に年率0.4%で成長し、コンセンサス予想を若干下回った。シンガポールの実質GDP成長率は本質的に逐次変動しているため、ウェルス・ファーゴのリサーチチームは前年比に焦点を当ている。過去12ヶ月間で、シンガポールの経済成長率は2.5%で、Q1からの下方修正ペースと一致している。
実際のGDPデータの基礎となる需要構成要素の内訳は、来月までわからない。しかし、産業部門ごとのデータは、製造業とサービス業の継続的な回復を示している。生産高は今年の第2四半期に8.0%増加したが、過去2四半期から見たペースは減速している。ただ、生産部門の生産量は過去2年間で著しく改善した。サービス部門の業績は、前年同期比第3四半期連続で1.7%に上昇した。さらに、建設業績は年率で4.3%の上昇となったが、第1四半期は14.4%の大幅な減少であった。前年比では、建設業での減速のペースが第2四半期に縮小しものの5.6%という数字は2017年までの12年間で最大の縮小となった。
WellsFargoResearchTeam
2015年から2016年に発生した世界貿易の減速は、貿易依存型シンガポール経済を圧迫し、シンガポールの経済成長率を実質2年の間2.0%に低下させた。今年下半期に入ると、最近起こった世界貿易の初期的な回復は、世界経済の見通しを改善する助けとなり、シンガポールの経済成長が徐々に回復する前兆となった。ウェルス・ファーゴのリサーチチームはシンガポールの実質GDPを明示的に予測していないが、ブルームバーグ(Bloomberg)のコンセンサス、2.4%の2017年実質GDP成長率は合理的な予測であると考えている。この数字が正しければ、過去2年間と比較して経済成長の改善を示すと思われる。しかし、シンガポールの経済成長を景気後退のペースに戻す可能性があり、前回に見られたような超過金利に世界経済活動が戻ることは期待していない。

■シンガポールドルの混乱、見通しは穏やか

WellsFargoResearchTeam
シンガポール経済のオープン性と貿易の重要性のため、シンガポール通貨金融当局MASは主に国の為替レートを心配する。シンガポールドルは、最近、世界の主要通貨に対して混乱しており、米ドルに対しては上昇しているが、ユーロなどの他の通貨に対しては下降している。
ウェルス・ファーゴの通貨戦略チームは、これからの四半期に米ドルがシンガポールドルに対して少しずつ下落することを予想している。(出典:FXStreet)

■エムトレの視点

世界的な経済的混沌から上昇の兆しが見えてきた2017年、その影響はシンガポールにおいても同様だろう。特に金融立国として経済成長を遂げてきた同国においては顕著だろう。データが示すとおり、建設業は低く留まっているものの生産高、サービス部門に上昇の兆しが見られることから、2017年実質GDP成長率は2.4%ないしはそれ以上になる可能性も否定できない。
シンガポールドルの価格については、考察が難しいのが正直なところだ。主要通貨に対しての強弱がまちまちなのがその理由である。これは主要通貨が混乱していることの証左でもある。


【ニュース提供・エムトレ】《FA》

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