涼太と麗華の存在感が急上昇、『あなそれ』第5話レビュー

2017年5月23日 16:33

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第5話にして急激に存在感が増してきた麗華(仲里依紗)。いわゆる「女子力」を感じさせない人だが、地に足付いている雰囲気を持った大人の女性としてスポットが当たり始めている。(c)TBS

第5話にして急激に存在感が増してきた麗華(仲里依紗)。いわゆる「女子力」を感じさせない人だが、地に足付いている雰囲気を持った大人の女性としてスポットが当たり始めている。(c)TBS[写真拡大]

■衝撃的なラストで終わった『あなそれ』第5話
 5月16日に放送されたドラマ『あなたのことはそれほど』第5話は視聴率9.8%を記録した。タイトルが「夫VS愛人!地獄の公園デビュー」となっており、涼太(東出昌大)が美都(波瑠)の不倫相手である光軌(鈴木伸之)に近づくという異例のパターンを見せた。

【前話は】涼太の復讐がはじまるか、『あなたのことはそれほど』第4話レビュー

■『あなそれ』第5話の内容
 涼太は結婚記念日の夜、美都に「光軌と不倫していることを知っている」と暴露してしまう。涼太は光軌の連絡先を持っており、その上で結婚生活を続けると宣言する。その夜、異様な愛情を見せつけられた美都は恐怖するが、普段と変わらない様子を見せる涼太。同じベッドに入るも、美都は眠れない夜を迎えることになった。

 美都は涼太の異常さを感じ取るが、自分も後ろめたいことをしているため、友人の飯田(大政絢)に彼のことを理解してもらうことができなかった。涼太とのことが解決しないまま、美都は光軌のことを思いながら陶芸教室に通っていた。その教室の生徒の1人が、もともと通っていた麗華(仲里依紗)の本が置きっぱなしになっていたことに気付く。美都は「麗華と友人である」と噓をつき、不倫相手の家に訪れることにした。

■美都だけでなく涼太も攻撃を仕掛ける
 美都が直接麗華の元を訪れたことに、光軌は電話を通じて美都を叱りつける。光軌は子どものこともあるため、しばらく会うことを止める旨を告げる。しかし、不倫自体を止めるつもりはなかった。

 涼太はある日の休日、1人で出かけると言い出した。不審に思った美都だったが、彼をそのまま送り出した。その一方、光軌は麗華と共に赤ちゃんを連れて公園デビューを果たしていた。仲睦まじい様子だったが、そこに涼太が現れる。涼太は言葉巧みに2人に近づき、口実を作って光軌と2人になるように仕向けた。

 光軌と2人切りになったとき、涼太は彼に「自分はあなたの連絡先を知っている」と告げる。それと同時に、美都の夫であることも切り出すのだ。それだけ言い残して涼太が去った後、美都からの電話に出た光軌は「友達に戻ろう」と提案した。

■不倫されている側に焦点が移り出す
 『あなそれ』の5話では、今まで沈黙を守っているように見えた涼太に大きな動きがあったのが特徴だ。同時に、光軌の妻である麗華の過去や、彼女が「女子」ではなく1人の「女性」として結婚生活を送ろうとしているのがわかるシーンが散りばめられていた。

 特に、麗華は美都を見たときに「女子力が高そう」というコメントを残した。美都は一見すると可愛くて理想の家庭を築こうとする女性に見えるだろう。それに対して麗華は、隣人から「光軌と結婚できるのもわかる」と言われたり、光軌の妹からも「本気で選んだとわかる」と評される女性として登場している。

 この点から、麗華は大人の女性として社会に溶け込んでいるのがわかる。同時に、見た目を含めた「女子力」高めの人が幸せな結婚を送れるわけでないという、ちょっとした皮肉になっているのだろう。こうした考察をしてみるだけでも、『あなそれ』は現代的なドラマだと感じさせられる。

 『あなたのことはそれほど』は、毎週火曜日夜10時からTBSにて放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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