ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」【感想レビュー】

2017年4月14日 11:50

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ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」【感想レビュー】(C)雨瀬シオリ・講談社/神高ラグビー部|TOKYO MX、MBS、BS11ほかにて好評放送中

ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」【感想レビュー】(C)雨瀬シオリ・講談社/神高ラグビー部|TOKYO MX、MBS、BS11ほかにて好評放送中[写真拡大]

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 桜前線がガンガン北上して、新生活がスタートする頃ですね。アニメもシーズンが切り替わったり新アニメが始まったりと、動きが多い時期。

 新しいワクワクも嬉しいですが、終わってしまう寂しさもあり、しみじみする昨今です。

■ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」のあらすじ


 神奈川最強嶺蔭学園との試合が過熱する。2軍とはいえ、さすがは神奈川最強である嶺蔭学園!洗練されたラグビーを展開し、神高を翻弄……してくるかと思いきや、この数ヶ月で随分たくましくなった神高は、あらゆる経験を、あらゆる力を嶺蔭相手に臆することなくぶつけ、互角以上の激戦を展開する。

 しかし、3年生達の間には不穏な空気が流れ、それが試合にも影響していて……?

■ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」の感想


 ガチ闇堕ちきちゃったあああああああ!!??時間は巻き戻り、嶺蔭戦前夜。松尾さんが夜空を見上げていると、鹿島が呼び出しに来ます。寛いでいた下級生達が心配そうです。

 生田壮の休憩室のような一角に、三年生が全員集合していました。

 松尾が練習に手を抜いている事に気が付き、交代させられ、試合に出れない事を喜んでいるようにも見える不真面目な態度に、全員が不満を募らせていたのです。

ようやく語られる不穏な空気の正体
 三年生の間に流れる不穏な空気の正体がようやく語られます。元々、裏で真面目に努力する江文に気が付きフォローに回ったり、実直な努力を続ける同学年の赤山に憧れ、その努力に自分も頑張らなければ、と励まされ真面目に練習してきた結果、赤山や八王子の相談に乗ったり、スタンドオフのポジションを獲得するなど、努力家で真面目なはずの松尾。

 その突然の豹変に戸惑い、苛立ちを募らせた三年生。特に広田は我慢ならない様子で松尾に詰め寄ります。松尾があっさりと練習に手を抜いていることを認めたため、衝撃が走ります。信じられない様子の賀茂達や、責めていた広田ですら一瞬驚きに固まってしまいます。

 納得させられる理由があるのか、と更に声を強める広田に松尾は理解されないと一蹴します。

 これには、副キャプテンの八王子と共に松尾を頼りにしてきたであろう赤山が、説明を求めて怒鳴ります。もうこの空気の重さがしんどい。松尾は現実的に考えて、この代で花園に行けるとは思えない、と言います。

 花園に行けると信じて頑張る事と、15年もの間花園に出場し続けている嶺蔭を現実的に倒せるかどうかは、別の事。ゆくゆくは神高だって花園に行けるかもしれない。けれど、それはきっと今年ではない。

ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」【感想レビュー】
現実の困難さと練習に手を抜く事は関係ない!
 残酷な現実に、嶺蔭だって倒せると言える人は三年の中には誰もいません。

 諦めきった松尾の言葉に鹿島は反発し、現実の困難さと練習に手を抜く事は関係ないし理由にならない、と言い切ります。

 鹿島がかける言葉に、あろうことか松尾は自販機でジュースを買おうとします。この取り付く島の無さはよっぽどです。

 赤山は、同じ大学に進み一緒にラグビーを続けようと言っていたのだから、松尾自身が強くならなくてはいけない、と目前の花園予選より先の未来を提示しますが……それこそが地雷でした。

 松尾は大学に行けなくなった事を告げます。

 「自分のラグビーは後数か月で終わり。自分が試合に出るより、才能のある大原野に出て欲しい、そうすれば来年は勝てるかもしれない」

重くのしかかる言葉
 鹿島は本当にそれが本心なのか、赤山を見習わなければ、赤山の様になりたいと言って努力してきた松尾の二年半は嘘だったのかと問いかけます……。未だに赤山の様になりたい、と松尾は言います。

 しかし、何と言われてもどうしても真剣になれないのだ、と顔を歪めます。赤山の様になりたいと言ってなれていたらこんな事にはなっていない。

 ごめん、の言葉が重くのしかかります。この赤山の様になりたいと言ってなれていたら……はそのまま花園に行きたいと言って行ければ、や、ラグビーを続けたいと言って続けられれば……に置き換えられてしまいます。

 松尾の現実がどうしようもなく、そのどうしようもなさに気持ちが折れてしまっていることが読み取れます。

 なぜもどうしても意味がなく、頑張れば良いとか、やってみなければ解らないといった楽観的な言葉が届く場所に、もう松尾が居ないという事実が浮かび上がります。

 なにより、三年生はどんなに自分達が弱かったか、神奈川の弱小チームが15年王者に君臨する「勝ちそうなチーム」嶺蔭を倒すことがどれだけ困難で無謀なのか、一番身に染みているはずです。

 この不穏すぎる空気で二軍とはいえ嶺蔭戦を迎えていたとか……神高大丈夫か!?

嶺蔭との練習試合
 その嶺蔭との練習試合。赤山自身が試合開始前に「気にするな」発言をしていてなお、ベンチの松尾を気にしてしまうのも無理はありません。三年組の心情は大荒れですが、一方でグラウンドを走るチームの動きは素晴らしいものがあります。

 スクラムでボールを確保し、賀茂先輩からボールを受け取った大原野は、素晴らしい守備を見せていた吉備にボールを繋ぎます。コントロールはまだまだ、と大原野に言われる吉備ですが、その大原野よりキック力はある、と言わしめるその脚力で長距離のキックを成功させます。

初撃に沸き返る!
 同ポジションの貴船がキックコントロールの精密さで鳴らしている割にキック力が無いとされている現状、コントロールいまいちでキック力はある吉備を上手く使く大原野の采配が光ります。

 指摘されたコントロールについても練習するよ、と答える吉備や、現メンバーでどう戦うかを考える大原野。

 そしてラインアウトで相手のフェイントに引っかかりながらも、支える仲間に激を飛ばし意地でもとボールを確保した鹿島。

 そのボールを絶対に繋げると走る健部 知道(たけべ ともみち CV:高橋渉)と、スタメンメンバーの動きはまさに総力戦。

 ボールさばきが間に合わないと見るや、大原野は自らラン&ステップで嶺蔭のディフェンスを掻い潜り、御門を引き付けタックルさせます。

 そして、ディフェンスの穴に走り込んできた諏訪にボールを繋ぐ。80メートルしか進めない自分では満足できないと、嘆きから闘志にその心持を変えた諏訪は、80メートルしか進めないどころか嶺蔭選手を引きずりながらも走り抜け、嶺蔭から先制トライを奪います。

 この鮮やかな初撃に神高はわきかえります。

 弱小、無名と神高を敵と見ず油断した……嶺蔭のベンチで源監督は冷静に現状を分析しています。先がもうない、と心を折ってしまった松尾先輩と、グラウンドで走るメンバーとの差異がくっきり表れた先制トライ。

美人可愛いい
 嶺蔭相手にここまでできる。ベンチが明るい雰囲気に包まれても、松尾先輩の顔は暗いまま。
諏訪のトライを讃え、まあまあじゃない?と余裕そうな大原野が蹴ったコンバージョンは外れてしまいます。

 得意そうな顔の大原野が美人可愛くて、外して気まずそうな大原野が可愛いという、美味しい表情にほっこりします。追い打ちでトライを決めた諏訪が実に嬉しそうに大原野をからかうのだから、松尾先輩周辺の不穏な空気が和らぎますね。

いままでのすべてをぶつける神高だが
ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」【感想レビュー】
 これまでの経験や得たものを全力でぶつけていく神高。しかし、これまでの努力をすべてぶつける試合だからこそ、松尾先輩と共に頑張ってきた三年生に影響が出ない訳もありません。
貴船ならコンバージョンも決まったかもしれない、と和やかなベンチ。

 照れて謙遜する貴船と、声援を送る皆から一歩引いて暗い顔をしている松尾先輩の対比が辛い。

 試合の合間、普段は悪戯好きで賑やかな賀茂先輩が、思いつめた表情で赤山キャップの腕に縋りつきます。

 賀茂先輩は前夜に三年生が松尾先輩を呼び出した時も、ヒートアップして問い詰める他の三年生を宥めていて、松尾先輩を庇うような言動を見せていました。

 賀茂先輩のポジションはスクラムハーフ。

 ナンバーエイトの赤山先輩がスクラムから出したボールを賀茂先輩が取って、スタンドオフの松尾先輩にパスして繋いできた。プレイの中で賀茂先輩と松尾先輩が絡むポイントが非常に多いポジション同士。

 賀茂先輩は経験者ですが、松尾先輩は高校からラグビーを始めて、最初はとても下手だった。

 けれど、今では賀茂先輩が居て欲しい場所に居てくれるようになった。
へたくそだけれど、先輩に調子合わせるのだけは上手かった松尾先輩。
けれど、賀茂先輩の指摘を素直に受け入れて上達していった松尾先輩。

 悪い奴ではないけれど、庇うほど仲が良かった訳でも、好きでもなかったと回想する賀茂先輩。練習の中、プレイの中で築かれた信頼が、松尾に何かあったはずだ、そうでなければ自分が気が付かないはずがないとまで賀茂先輩に思わせます。

 しかし、今は試合中。松尾先輩の事ばかりに気を取られていたせいか、賀茂先輩はパスミスを犯します。

 インターセプトでボールを奪われてしまった神高ですが、これを止めに赤山キャップが走ります。

 赤山キャップがタックルで相手を倒した時、鋭い視線を向けていたのは、ボールでも相手チームでもなく、神高ベンチの奥にいる松尾先輩でした。

 嶺蔭を倒して、松尾の目を覚まさせてやろう。

 賀茂先輩がそう声をかけてきたから、という理由だけではなく、赤山自身に思う所があるのでしょう。

 試合開始前に松尾を気にしている場合じゃないと他の三年に声を掛けたのも本心でしょうが、赤山キャップは事あるごとにベンチの松尾先輩に視線を向けていました。

 その視線に今まで無反応だった松尾先輩が、このタックルで向けられた赤山キャップの鋭い視線にはさすがに息を飲んでいました。それでも苦し気な表情で眼を伏せてしまう松尾先輩。
是が非でも『目を覚まさせて』やって欲しいと思ってしまいます。

 この赤山キャップのタックルには嶺蔭ベンチの源監督達も「とんでもない」と評されます。

再びのパイルアップが宣言され神高ボールでのスクラムに!
 タックルが決まってもボールが奪えない状況に、神高ベンチはギリギリと焦れ、嶺蔭の源監督や月中キャプテンは先の展開が読めずやみくもで、基礎ができていても応用ができていない、と神高の実力を的確に計ります。

 そうこうしているうちにも試合は進み、祇園のタックルに石清水が続きなんと相手を持ち上げてしまいます。これには神高、嶺蔭ともに加勢に入りあっという間にモール状態に。

 このモールは拮抗し、どちらもボールを動かせません。再びのパイルアップが宣言され神高ボールでのスクラムに!

冷静な龍さん
 このチャンスに神高陣営はわきます。前半の残り時間もあとわずか。盛り上がる神高ベンチの中で、やはり籠さんは冷静でした。

 一部のメンバーの動きが悪い事、ベンチの三年の様子、単純なミスを重ねる様子を見て、三年が何かあるのだと気が付きます……。そして神高にとって良い流れ、という事は嶺蔭にとっては悪い流れだという事。

 嶺蔭ベンチから霧島弟、国人が檄を飛ばします。

 神高のミスも重なり、ボールを嶺蔭に取られてしまいます。しかし、この国人の激がマイナスに働いた人物がいました。

 そう、霧島兄、関人大好きな御門です。大好きな関人さんや監督に弱小相手に苦戦していると思われてしまう、良い所を見せなければ、とベンチを気にしてしまいます。

 この目の前の試合や己の役割より、外の人にどう思われるかを気にしてしまった御門。まぁ実生活でもよくある事ですが、どう評価されるかに囚われるとミスって誘発されますよね……。
案の定、この気負いが裏目に出てしまいます。

裏目に出る嶺蔭
ALL OUT!! 第24話「絶対戦えなかった相手」【感想レビュー】
 赤山キャップが的確に御門の体を捉えたタックルを決め、グラウンドに押し倒された御門はボールを渡したくない一心で抵抗します。……が、これはノットリリースザボールという反則です。*タックルを受け倒されたプレイヤーはプレーの続行を禁止されている。そのため、速やかにボールを離さなければならない。これに反してボールを手放さなかった場合反則となり、相手チームにペナルティキックが与えられる。

 御門には味方からブーイングが、タックルを決めた赤山キャップには称賛が……と思いきや、赤山キャップに近寄ってきた八王子先輩が怒りを爆発させます。

 八王子先輩はことあるごとにベンチの松尾先輩ばかり見る赤山キャップが、試合開始前、相手に集中しろと言ったにも関わらずそれが出来ていない事、目の前の敵は今まででは絶対に対戦することができなかった強敵であることを説き、目の前のプレイに集中するようにと詰め寄ります。

 そう、御門がベンチにいる監督や憧れの関人の評価を気にし過ぎたせいで基本的なミスを犯したように、目の前の事に集中していないと良いパフォーマンスは期待できません。

 賀茂先輩や眞子先輩など、三年生にミスが多いのもきっと同じ理由でしょう。

 このぐうの音も出ない正論に、流石の赤山キャップもしゅんとうな垂れてしまいます。本当この武将系キャップは所々でわんこ属性ブッ込んでくるよなぁという歪んだ感想が止められません。

 三年間、散々赤山キャップを支えてきた八王子先輩だからこそ言えたセリフだなぁとしみじみするとともに、きっちり指摘した後、「次のプレイに行こう」と切り替えて相手を励ませる、八王子先輩の気遣いやコミュニケーションスキルがさすがお母さんです。

八王子先輩のピールオフ作戦
 嶺蔭ゴールまで10メートルも無い絶好の位置で神高のラインアウト!

 八王子先輩はピールオフという作戦を立てます。*ピールオフ:通常のラインアウトではスクラムハーフからバックスへとボールを展開させる事が多いが、スクラムハーフにボールを渡さず、ラインアウトに参加している選手にボールを渡し、ラインアウトの後方又は前方を突破しようとすること。相手陣ゴール前でトライを狙う際等に有効な手段。

はたしてピールオフ作戦の結果は?
 ボールを投げ入れるのは八王子先輩。赤山先輩がスクラムハーフの位置についた事で、嶺蔭はモールでのトライを狙っていると勘違いします。御門も絶対に止めると気合十分。

 しかし、ここで今期一番の乙女っぷりを発揮し続けた石清水が魅せました!八王子先輩が投げ入れたボールを確実にキャッチすると、不敵に笑みを浮かべます……。

 すぐさま赤山キャップにパス!この動きについてきた嶺蔭をあざ笑うかのようにすぐさま八王子先輩にボールを回し、八王子先輩がそのまま走り逃げてトライを決めます!

 この八王子先輩へのパスを決めた赤山キャップの爽やかなドヤ顔がたまりません。前半終了間際のファインプレイに神高は喜びを爆発させ抱き合います。作戦が成功したと喜び合う八王子先輩と赤山キャップに祇園達も駆け寄りハグ。喜ぶ赤山キャップの顔は、もうベンチを伺ったりしません。ダメ押しで大原野が今度はキックを成功させ前回の失敗を挽回します。これで12対0!

 二軍とはいえ、神奈川王者の嶺蔭相手に文句のつけようのない善戦です。しかし……ここで嶺蔭の巨人、残波が目を覚まし不敵に笑います……。このまま勝利をもぎ取れるのか、そして松尾先輩は……。

 次回、ついに最終回「オールアウト」です!

■今回のまとめ


 松尾先輩が心配すぎる……。赤山キャップを叱れるお母さんな八王子先輩が素敵すぎる。三年間、きっと叱り叱られ頑張って来たんだろうなぁ。

 きっとそうやってきたのは二人だけじゃなくて、三年生全員が死ぬほど喧嘩してきて今に至っているんだろうなぁ。

 そしてだからこその松尾先輩の影響力なんだろうと思うともうほんと、三年に幸せになって欲しいです。

 ラスボス戦だけあって三年の因縁や二年の変化、一年の成長などなどが随所に見られて、まさにクライマックスです。

 石清水の「うまいプレイ」時に見られる小悪魔どS顔とか、祇園の必殺タックルとか、二年生の活躍とかまだまだ見たりない!!

 ……もう1シーズン来ませんかね?

 ALL OUT!!( オールアウト ) 感想レビューのまとめ

(あにぶ編集部/笠井)

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