W杯アジア最終予選タイ戦、快勝も雑さが目立った日本代表イレブン

2017年3月28日 22:34

印刷

■ミスが多すぎるディフェンス陣
 28日、サッカーのワールドカップ・アジア最終予選で、日本はホームでタイと対戦し、4-0で勝利した。最終予選B組で最下位のタイには、大差の勝利が至上命題となっていた。結果だけを見たら成功したと言ってもいいだろう。1次予選で勝ちきれなかったシンガポール戦の反省を踏まえアタックを仕掛けた結果得点を重ねることはできた。

 オフェンス面は確かに良かった。内容云々というより確実にチャンスをものにし、質の高いゴールを積み重ねていった。その反面ディフェンス陣は問題だった。こういう大差の試合の場合、ディフェンスが良くないというケースはよくある。理由は前線のディフェンスが雑になり後ろに負担がかかるということが多いからだ。

 しかしこの試合は違った。前線からのプレスは機能しパスコースを消していたため悪くなかった。ディフェンス4人およびボランチの2人のポジショニングやアイデアが際限なく悪かった。ハリルホジッチの掲げるデュエルでは負けが多かったし、パスミスも多かった。

■原因はタイを舐めていたところにある
 恐らく選手に聞いたら対戦相手であるタイに対して「リスペクトをしている」という回答をするだろう。しかしどう見てもディフェンス陣はタイを舐めていたように思われる。シンプルにパスをするということはなくボールを取られたら非常にまずい場面でも切り返して相手をかわそうとする場面が目立った。

 クリアする場面でもマイボールにしたいがあまりピンチを招くということも多かった。ポジショニングが悪く最終的にスプリントで上回り、「何とかゴールを許さない」という展開となった。こういう状況では「締める」必要があったが、前線でフレッシュな選手を出したいがためにディフェンスは変えなかった。「競争力」を煽るのであれば前線ばかり交換するのではなくディフェンスの交換も必要である。

■収穫と日本の良さ
 時間帯によってはタイにきりきり舞いにされた日本だが、何よりも大事な「結果」は見せた。PKを与えても川島が守る、最終的には足を伸ばしてシュートを防ぎ、失点を0に抑えた。至上命題である「大差での勝利」に対して合格点を得られた。

 収穫に関しては久保のブレイクがあった。得点に絡むプレイで日本を鼓舞し若い力でチームをけん引した。オーストラリアが勝ちきれなかったタイ相手に4-0は収穫以外の何者でもない。ただそれだけに雑なプレーは目立ってしまい、もったいないという印象が残る。こういう試合をきっちり戦って出せるものを出してレベルアップしなければ世界に近づくことはできないだろう。

関連キーワード

関連記事