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毎日1箱の喫煙、1年間で肺に150個の突然変異が蓄積
国立がん研究センターや理化学研究所などの日英米韓国際共同研究チームは4日、喫煙とがんの原因となるDNAの突然変異との関係に関する研究成果を発表。1年間毎日1箱のたばこを吸うことで、肺がんでは150個の突然変異が蓄積することが分かった。研究成果は、国際科学雑誌『Science』に掲載された。
国立がん研究センター研究所がんゲノミクス研究分野の柴田龍弘分野長や、十時泰ユニット長らの研究グループは、様々な臓器がんにおけるDNA(遺伝子)異常に、喫煙がどの程度影響を及ぼしているのかについて、喫煙との関連が報告されている17種類のがんについて合計5,243例のがんゲノムデータを元に検討を行った。
その結果、生涯喫煙量と患者のがん細胞に見られる突然変異数には統計的な相関関係が見られ、喫煙が複数の分子機構を介してDNA変異を誘発していることを明らかにした。1年間毎日1箱のたばこを吸うことで、肺がんでは最多の150個、喉頭では97個、咽頭では39個、口腔では23個、膀胱では18個、肝臓では6個の突然変異が蓄積していると推計された。
さらに、喫煙によって発がんリスクが上昇するがんには少なくとも3つのタイプが存在することも明らかになった。タイプ1は「肺がん」「喉頭がん」「肝臓がん」など、たばこ由来の発がん物質暴露が直接的に突然変異を誘発しているがん、タイプ2は「膀胱がん」「腎臓がん」などたばこ由来の発がん物質暴露が間接的に突然変異を誘発しているがん、タイプ3は「子宮頸がん」「膵がん」など今回の解析では明らかな変異パターンの増加が認められなかったがんだ。
今回の研究により、がんの発症において喫煙が全ゲノム解読レベルで突然変異を誘発していることが再確認され、がん予防における禁煙の重要性が強調される結果となった。
たばこ由来発がん物質暴露が、直接的だけでなく間接的にも突然変異を誘発するタイプのがんが認められたことで、今後喫煙がどのように間接的な突然変異誘発機構を活性化するのかに関する詳細な分子機構の解明によって、喫煙関連がんの予防や治療が進むことも期待されるという。(記事:町田光・記事一覧を見る)
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