住友金属鉱山、レアアースの一種スカンジウムの回収事業に参入

2016年4月28日 18:08

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住友金属鉱山は、希土類元素(レアアース)の一つであるスカンジウムの回収事業に参入する。(写真:同社発表資料より)

住友金属鉱山は、希土類元素(レアアース)の一つであるスカンジウムの回収事業に参入する。(写真:同社発表資料より)[写真拡大]

 住友金属鉱山は28日、希土類元素(レアアース)の一つであるスカンジウムの回収事業に参入すると発表した。投資額は40億円で、2018年春に生産を開始する予定。製造能力は年間約7.5トンとなる見込み。

 同社によると、フィリピンの子会社タガニートHPALニッケル社(THPAL)が新設するプラントで中間品を製造し、同社の播磨事業所で最終製品である酸化スカンジウムを生産する。同社は2013年にニッケル・コバルト混合硫化物の製造工程からスカンジウムを商業生産規模で効率的に回収する技術を確立した。

 同社によると、スカンジウムは現在、中国、ロシアなどを中心に推定で年間約10~15トン(酸化スカンジウム換算量)生産されている。世界的に生産量が少ないことから需要が限定られているが、同社が西側諸国で初めて本格的な量産を行うことで、特に燃料電池向けの長期的・安定的な供給が可能になるとしている。

 燃料電池向けの販売については、米国の大手企業と長期販売契約を締結致したという。今後、燃料電池向け用途を軸としながら新規用途も開拓し、市場を作っていくという。燃料電池以外の用途では、航空機や自動車、高級レジャー用品向けのアルミ・スカンジウム合金、LED、レーザー、電子材料などがある。

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